薬剤師の難易度はどのくらいか、気になっている人はいませんか?
確かに、薬剤師になるための国家試験や全国の薬学部・薬学科の入学には年齢制限がないため、なろうと思えば社会人でも薬剤師になることは可能です。
ただし、薬剤師になるには6年間薬学部で勉強し、国家試験に合格して免許を取得する必要があるため、そう簡単に薬剤師になれるわけではありません。
この記事では、薬剤師の難易度や国家試験の内容など、薬剤師になるための資格の取得方法について紹介します。
記事の最後には、薬剤師になる上で利用したい転職エージェントも紹介しているので、合わせて確認してみてください。
目次
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薬剤師の難易度は高い?2chや知恵袋の意見も調査
前述のとおり、薬剤師になるには6年間の薬学課程が必修であり、さらに国家試験に合格する必要があります。
それでは、薬学部・薬学科の入学試験や国家試験、さらにその後の就職は、どれくらいの難易度なのでしょうか。それぞれの難易度について解説します。
大学入学の難易度
薬剤師になるには、6年制の薬学部に進学する必要があります。2019年時点で、6年生の薬学部のある大学は75校、定員は12,835人と、狭き門というわけではありません。
中には偏差値が50ほどの大学もあり、「薬学部に入る」というだけであればそこまで難易度は高くないと言えます。
ただし、国家試験の合格率が半数を切っている大学も存在するため、薬学部に入れれば確実に薬剤師になれるというわけではありません。
知恵袋でも、「偏差値の低い私立大学では、半数以上が6年生まで進級すらできない」という意見があり、難易度の高い大学に合格するのが薬剤師への第一歩と言えそうです。
薬剤師国家試験の難易度
薬剤師国家試験の合格率は、年によってばらつきがあるものの、近年ではおおむね60%から90%ほどで推移しています。合格率だけ見れば、それほど難関とは言いきれません。
しかし、どの大学も国家試験合格率を上げるために厳しいカリキュラムを組んでいるので、在学中は6年間猛勉強する必要があります。
6年間しっかり勉強し、大学を卒業できる見込みでもなお合格できない人がいるという時点で、国家試験の難易度がどれほどのものか推測できるのではないでしょうか。
2chでも、「薬学部の同級生が3人中退した」という書き込みがあり、国家試験合格を目指すための6年間が厳しいことが見て取れます。
就職の難易度
晴れて国家試験に合格すると、薬剤師として働くことができます。厳しい大学時代と試験を乗り越えてきた薬剤師の就職市場は売り手市場で、就職も転職も容易です。
しかし、就職の難易度は地域や職場によって大きく異なるため、必ずしも就職が簡単とは言い切れません。
調剤薬局は店舗数が多く、就職も難しくありませんが、大手の製薬会社では枠に限りがあるため、就職の難易度は上がります。
また、地方では薬剤師が不足しているため就職先にそれほど困りませんが、都心をはじめとした都市部では薬剤師が飽和している地域もあります。
薬剤師の就職の難易度は、「就職先を選ばなければ容易だが、場合によっては難しい」と言えるでしょう。
薬剤師国家試験の大学別合格率を比較
薬剤師の国家試験の合格率は厚生労働省が毎年公表しており、同時に大学別の合格率も公表されています。
では、それぞれの大学の合格率はどのようになっているのでしょうか。2019年に行われた「第104回薬剤師国家試験」の合格率と、A判定(合格率80%)の偏差値を紹介します。
大学名 | 受験者数(名) | 合格者数(名) | 合格率(%) | 偏差値 |
---|---|---|---|---|
国立大学 | ||||
北海道大学 | 31 | 28 | 90.42 | 62 |
東北大学 | 35 | 26 | 74.29 | 70 |
千葉大学 | 47 | 40 | 85.11 | 70 |
東京大学 | 12 | 9 | 75 | 75 |
富山大学 | 69 | 54 | 78.26 | 69 |
金沢大学 | 42 | 40 | 95.24 | 67 |
京都大学 | 43 | 35 | 81.4 | 73 |
大阪大学 | 35 | 29 | 82.86 | 73 |
岡山大学 | 57 | 49 | 85.96 | 70 |
広島大学 | 43 | 38 | 88.37 | 70 |
徳島大学 | 58 | 51 | 87.93 | 70 |
九州大学 | 43 | 41 | 95.35 | 70 |
長崎大学 | 59 | 52 | 88.14 | 68 |
熊本大学 | 70 | 58 | 82.86 | 70 |
公立大学 | ||||
岐阜薬科大学 | 101 | 87 | 86.14 | 60 |
静岡県立大学 | 98 | 87 | 88.78 | 60 |
名古屋市立大学 | 88 | 79 | 89.77 | 65 |
私立大学 | ||||
東北医科薬科大学 | 346 | 276 | 79.77 | 55 |
城西大学 | 400 | 211 | 52.75 | 56 |
東邦大学 | 258 | 223 | 86.43 | 65 |
北里大学 | 268 | 233 | 86.94 | 69 |
慶應義塾大学 | 172 | 156 | 90.7 | 72 |
東京薬科大学 | 552 | 448 | 81.16 | 66 |
東京理科大学 | 114 | 101 | 88.60 | 70 |
日本大学 | 326 | 229 | 70.25 | 63 |
星薬科大学 | 296 | 262 | 88.51 | 68 |
明治薬科大学 | 354 | 309 | 87.29 | 67 |
帝京大学 | 399 | 284 | 71.18 | 62 |
名城大学 | 274 | 253 | 92.34 | 65 |
大阪薬科大学 | 394 | 304 | 77.16 | 64 |
近畿大学 | 182 | 157 | 86.26 | 66 |
日本薬科大学 | 330 | 152 | 46.06 | 57 |
帝京平成大学 | 408 | 210 | 51.47 | 60 |
同志社女子大学 | 180 | 133 | 73.89 | 63 |
立命館大学 | 119 | 102 | 85.71 | 67 |
この表を見てみると、私立大学に比べて国公立大学の方が合格率が安定しており、その分偏差値も平均的に高いことが分かります。
一方で、私立大学は合格率が高い学校もあるものの、50%前後の学校もあるなど差があり、偏差値にも差が見られます。
一概には言えませんが、入学試験の難易度と国家試験の合格率には相関性があるようです。
より確実に国家試験に合格したいのであれば、大学受験の時点でよりランクの高い大学を目指す方が良いと言えるでしょう。
薬剤師国家試験ってどんな試験?試験問題や対策について解説
薬学部での6年間の勉強を終えた学生たちに、最後の壁として立ちはだかるのが国家試験です。では、最後の壁である国家試験は、どのような試験なのでしょうか。
ここでは、薬剤師国家試験の受験の流れや難易度、対策方法など、試験の内容について解説します。
試験内容
薬剤師国家試験は、「物理・化学・生物、衛生、薬理、薬剤、病薬・薬物治療、法規・制度・倫理、実務」の7科目から、必須問題90問と一般問題225問が出題されます。
試験時間は最大で150分もあり、2日間かけて行われるため、知識だけではなく体力も求められるハードな試験です。
合格するためには、総合点だけでなく、科目ごとに定められている合格基準を全て上回らなければならないため、苦手科目を作らず、まんべんなく正答できる能力が求められます。
申し込みから合格までの流れ
薬剤師国家試験の日程は、毎年夏頃に公表されます。
受験の申し込みは大学がまとめて行うため、在学生は特に手続きは必要ありませんが、卒業生は早めに大学に連絡しましょう。
大学在学中の場合は、国家試験と似た形式の卒業試験を6年次に実施し、合格すれば国家試験が受けられるようになります。
試験はおおむね2月下旬から3月に行われます。マークシート方式なので、合格発表前に自分の点数を把握することが可能です。
実際の結果は3月下旬ごろに厚生労働省から発表され、合格していれば合格証が郵送されます。
難易度は昔より上がってるの?
薬剤師を目指している人であれば、「薬剤師国家試験の難易度は年々上がっている」という話を聞いたことがあるかもしれません。
確かに、薬学部が6年制に移行して覚えるべき内容が増えたことなどから、薬剤師国家試験の難易度は上がったと推測されます。
実際に、6年制への移行に伴い新試験が採用された2010年と2011年では、前後の年と比べても合格率が落ちているのが分かります。
しかし、それ以降の年は合格率が70%前後とこれまでの水準に戻っていることから、単に国家試験の難易度が上がったとは言い切れません。
試験対策
薬剤師国家試験では、各科目の合格基準を全て満たしていない場合には不合格となります。そのため、苦手科目を作らないことが重要です。
また、薬剤師国家試験では過去問題の類似問題が出題されることが多くあるので、過去問題を繰り返し解き、苦手な分野の克服に努めましょう。
さらに、近年の薬剤師国家試験は、暗記した情報量を問う問題よりも、「思考力」や「問題抽出・解決能力」を問う問題が増加傾向にあるため、安易な暗記に頼らないことも必要です。
薬剤師や難易度についてよくある質問
ここまで、薬剤師になるための難易度について紹介してきましたが、「社会人でもなれるのかな」、「学費はいくらかかる?」など、疑問に思っている人もいるのではないでしょうか。
ここでは、そのような疑問やよくある質問について解説します。
薬剤師と看護師では、どちらの難易度の方が高い?
6年制の大学に通う必要がある薬剤師と比較して、看護師は3年制の専門学校または4年生の大学で国家試験の受験資格が得られるため、看護師の方が受験のハードルは低いと言えます。
国家試験の合格率を比べてみると、薬剤師の60%から90%に対して看護師は90%前後なので、合格率だけ見れば看護師の方が高いと言えます。
ただし、試験の難易度については単純に比較ができないため、一概に「薬剤師の方が看護師より難易度が高い」とは言い切れないでしょう。
薬剤師の資格は中卒・高卒でも取れる?
薬剤師国家試験を受験するためには、6年制の薬学部を卒業する必要があるため、高卒や中卒では薬剤師の資格を取ることができません。
通信講座や専門学校、薬学部以外の学部などでも薬剤師国家試験の受験資格を得ることはできないので、薬剤師を目指すのであれば6年制の薬学部に通う必要があります。
そのため、中卒の場合には高校に通うか高卒認定試験に合格し、6年制の薬学部に合格して初めて、薬剤師の資格を取る第一歩を踏み出せるのです。
薬剤師になるにはどうしたら良い?社会人でもなることはできる?
薬学部や薬剤師国家試験の受験には年齢制限がないので、社会人でも薬剤師になることは可能です。
しかし、薬学部での勉強はとても厳しいため、社会人として働きながら薬学部に通って国家試験合格を目指すのは困難です。
薬剤師になりたいと決めたら、6年間は仕事に就かず、勉強漬けの毎日を送るという覚悟を持って薬学部に入学する必要があります。
生半可な気持ちでなれるものではありませんが、本気でなろうと決めた人の前には道が開ける職業であると言えるでしょう。
薬剤師になるためには、どれぐらいの学費がかかる?
薬剤師国家試験を受験するためには6年制の薬学部に通わなければならないため、当然ながら4年制大学よりも学費がかかります。
国公立大学の場合、6年間でおよそ350万円の学費がかかります。国立大学の学費はほぼ同じですが、公立大学はその地域に居住しているかによって入学金に差が出ることもあります。
私立大学は、文部科学省の調査結果によると、6年間で約1,144万円の学費がかかります。単純計算で、1年で200万円弱かかるということになります。
さらに、薬学部では留年する学生も多いため、留年するとさらに学費がかさんでしまいます。
薬剤師が臨床検査技師になるにはどうしたら良い?
臨床検査技師は、臨床検査を行う職業であり、通常は3年制の専門学校や4年生の大学を出ていないと国家資格の受験資格を得られません。
しかし、薬剤師の資格を持っていれば、追加科目を大学などで履修すれば受験資格を得られるので、有利に資格を取得できます。
多くの大学では「聴講生」という1科目から履修できるサービスを提供しているので、これを利用すれば追加科目を履修することが可能です。
どの科目を履修すればいいのかは、薬学部で履修した科目によっても異なるので、自分が通った大学に確認してみることをおすすめします。
薬剤師が取れる資格で、難易度の低いものはある?
薬剤師免許を持っていると、さまざまな免許や資格を有利に取得することができるだけでなく、国家試験に合格した段階で自動的に資格を取得できることもあります。
たとえば、大気汚染や水質汚濁などの公害を防止する「公害防止管理者」は、国家試験を受ける必要がなく、実務経験があれば講習の受講のみで取得が可能です。
また、「麻薬管理者」や「第一種衛生管理者」などの資格は、薬剤師国家試験に合格していれば試験を受けることなく取得することができます。
薬剤師への転職、無事薬剤師になれるか不安なら、転職エージェントに相談しよう
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38歳男性・病院薬局長
薬剤師の難易度は高いので、試験対策や転職エージェントに頼りながら乗り越えよう
薬剤師は、国家試験だけでなく薬学部での勉強もとても厳しく、なるには難易度がとても高い職業です。「給料が高そうだから」などの生半可な気持ちでなれるものではありません。
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