「個別機能訓練指導員」というと、「リハビリの仕事」「療法士が行う仕事」という印象を持たれる方が多いのではないでしょうか?
実際は、理学療法士・作業療法士・言語聴覚士などリハビリ専門職の他、看護師もこの職務に従事することができます。
今回の記事では、個別機能訓練指導員として10年働いている私の経験から、個別機能訓練指導員の仕事内容や“やりがい“、経験10年にして思うこと、転職を検討する際のチェックポイントを紹介します。
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個別機能訓練指導員の仕事とは
まずは、簡単に個別機能訓練指導員の仕事内容をご説明します。(私が勤務しているのは「有料老人ホーム」です。他の介護施設では幾らか業務が違うかもしれませんが、大まかには同じです。)
個別機能訓練指導員の仕事は、文字通り、施設入居者に対して個別機能訓練を行い、機能の維持・向上を図ることです。
ただ、回復期のリハビリテーションと大きく異なる点は、対象者が慢性期にあること、また、維持・向上の対象となる機能が「身体的」な機能に限られず、「精神的」「社会的」な機能が含まれることかもしれません。
さらに訓練の実務だけでなく、3か月毎の「機能訓練計画書」の更新、本人・家族に対し説明し同意を得ること、場合によっては施設の他の職員(介護士等)に実務の一端を担ってもらうため、訓練内容について説明し実施方法を教育することなども業務に含まれてきますので、「機能訓練をコーディネートする」重要な仕事と言えると思います。
個別機能訓練指導員のやりがい
特定施設での個別機能訓練の最大のやりがいは、対象者の生活の場で長期的にかかわることができるという点だと感じています。
病棟での機能訓練では、在宅での生活を想像し指導することはできても、実践して評価や検討を繰り返し、本当の意味でのオーダーメイドの機能訓練を提供することは難しいですが、施設での機能訓練では、対象者の生活の癖や大切にしている習慣に沿った機能訓練を提供することができます。
「生活リハビリ」の効果を実感した出来事
一例ですが、特定施設での入居中に居室で転倒し大腿骨頚部骨折を受傷された入居者様がいらっしゃいました。仮にA様とします。
A様は、人工骨頭置換術を受け病棟でのリハビリを経て退院し施設に戻られましたが、訓練室での機能訓練に対して拒否的だったため、退院した際にはほとんど歩行ができない状態になってしまっていました。
退院後に入院中の機能訓練についてお話を伺ったところ、歩けなくなっては困るという思いはあったものの、パジャマを着たまま訓練室で、ただ平行棒を行ったり来たりし、数段の階段を上り下りし「なんだか自分がとても奇妙に見えた」と訓練を拒否された理由を話してくださいました。
すぐに施設ケアマネージャーや生活相談員を交えたカンファレンスが行われ、個別機能訓練計画書が作成されました。
もちろん、施設にも平行棒や階段昇降訓練のための階段などがありますが、あえてそれらを使用した訓練ではなく「中庭への車いすでの散歩」「花壇の花の手入れ」といった訓練計画を立てました。
「それがリハビリなの?」と思われるかもしれません。A様も計画書をご覧になって、とても驚かれていました。
ですが実際、中庭へ車椅子で散歩に出かけるためには、屋外に出かけるための整容行動、ベッドから車椅子への移乗行動、車椅子座位を保つ姿勢練習など多くの訓練要素が盛り込まれているのです。
さらに、花壇の花の手入れをするためには、ガーデニング用品を扱う際の手指や上肢の動作が必要になります。
花壇の奥の方の花を世話するために腕を伸ばせば「リーチ動作訓練」といって体幹の筋力訓練にまでなるのです。
もともとA様はお花が大好きで、骨折前は居室の窓辺に飾った鉢植えを丁寧に大切にお世話されていたほどでしたので、この「訓練」にとても意欲的に取り組まれました。
なんと最終的には、車椅子を降りて高さ30㎝ほどの花壇に上ってお花のお世話ができるまでになられました。
当然その頃までには、歩行能力も再獲得され、施設内での動作もおおむね自立されるまでに快復されていました。
このような、生活場面での行動を活用した機能訓練のことを「生活リハビリ」と呼びますが、私自身、生活リハビリの効果の大きさを実感した事例でもありました。
10年の経験を経て思うこと
A様のように、計画が奏功し身体機能を取り戻され、生活に生きがいを見出される入居者様を見ることができるのは、本当に大きなやりがいです。
しかし10年の経験の中で、A様ほど劇的な回復を見せた方は決して多くはありませんでした。むしろ、加齢や疾患の影響を強く受けために、力が及ばず「あの時、もっと…」と振り返ることもあります。
特定施設という施設の特性ゆえに、訓練を開始するときにはすでに「機能の維持」が見込めない状態にある方もいらっしゃいますから、これから先どれほど経験を積んだとしても「あの時、もっと…」と感じることは無くならないでしょう。それでも私は、ただ生命や機能を維持することではなく、「その人らしさを活かす」ことを目指してこの仕事を続けていきたいと思います。
転職検討時のチェックポイント
個別機能訓練指導員の仕事は、多職種との連携が欠かせません。
特に、生活リハビリは介護職員による日常の生活介護の場面で実施されることになりますので、介護職員の普段の生活介護の際の雰囲気を観察することをお勧めします。
介護現場の人手不足が叫ばれてはいますが、利用者様と目を合わせる余裕、親切に声をかけ、介助で行うより時間がかかるとしても、できることは自分でしていただけるように待つ余裕が職員にあるか、ぜひ観察されることをお勧めします。
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