産休中の給与に関する全知識|計算方法・もらえる期間などを徹底解説

出産は、女性にとって大きなライフイベントです。医師から妊娠を告げられた時は、多くの夫婦が希望に夢を膨らませます。

喜びの一方、給与や生活費などお金の問題は気掛かりです。新たな家族の一員が増えて家計の支出も増え、金銭面の負担は増します。

妊娠・出産を経た女性が働き続けるのは当たり前の世の中になってきてはいます。ただし、産休中は働けないので、給与がどうなるのか心配です。

この記事では、女性のライフプランを左右する産休中の給与について解説していきます。

産休・育休中に支給される手当やそれぞれの特徴、支給金額の計算方法も解説します。

このページにはPRリンクが含まれています
転職の成功確率を劇的に上げる3つのSTEP
STEP1
ランキングの上位3社に登録する
STEP2
転職意欲をアピールする

各エージェントに「良い転職先があれば、すぐに転職したい」と伝え、優先的にサポートしてもらう。

STEP3
最も相性の良かった1社に絞る

担当者との相性を確認しながら本命のエージェントを1社に絞り、本格的な転職活動を開始する

転職エージェントマニュアル 転職エージェントとは?最高の転職を実現するための完全マニュアル

産休中・育休中に給与は出る?もらえる金額・期間は?

産休中は働けないうえに、出産の際に入院・分娩費用などの出費がかさみます。

出産後に育児休業に入ると、家族の生活費に加えて、子供の服やおむつ、ミルクなどの子育てに関する費用もプラスされます。

産休・育休期間に何の収入も無い状況は、できれば避けたいところです。ここでは、産休中・育休中に給与が払われるのか解説します。

産休中は給与がもらえない

ほとんどの会社では、産休中に給与は支払われません。

最近は独自の福利厚生制度を設けて、産休中も給与が支払う会社も出てきていますが、そういった体制が整っていない会社の方が多い状況です。

出産前後の大変な時期に、働いていたら支給されるはずの給与がもらえないと、家計にとっては大きな打撃です。

こうした事情から、産休中は会社からの「給与」ではなく、加入している健康保険組合などの公的医療保険から「出産育児一時金」「出産手当金」が支給されます。

出産育児一時金は42万円、出産手当金は1日あたり標準報酬日額の3分の2が支給されます。これにより、出産前後の生活費や、通常50万円ほどかかる入院・分娩費用をカバーできます。

産休中に給料が出る会社ってある?

産休中に給料が出る会社はほとんどありませんが、中には社内制度で産休中の金銭的サポート定めている会社もあります。

例えば、フリマアプリで有名な株式会社メルカリには、産休に入った社員の給与を100%保証する制度があります。

メルカリのような例はまれで、産休・育休中の金銭サポートを設けている会社はまだまだ少ないです。

産休中に給料がもらえるのは公務員だけ

先述の通り、一般企業の会社員はほとんどの場合、産休中に給料を受け取ることができません。ただし、公務員の産休は有給休暇扱いになり、給料が支給されます。

有給休暇扱いなので、給料だけでなく産休中にボーナス月があっても欠勤減率が適用されることはなく、基本的にボーナスも全額支給されます。

このほか、公務員には共済組合から「出産費」「出産費附加金」(合わせて45万円)が支給され、自治体によっては「出産祝い金」も支給しています。

そのかわり、公務員には一般企業の会社員が受け取れる出産手当金は支給されません。

厳密には、公務員の共済組合にも出産手当金の制度がありますが、そもそも出産手当金は会社からの給料がでないことが支給条件です。

そのため、産休中に給料が支給される公務員は出産手当金の支給対象とならないのです。

このように、会社員と公務員では、産休中に受け取れるお金に様々な違いがあります。

産休中の社会保険はどうなる?給与がマイナスになる?

前項で産休中に給与は支払われないことを述べましたが、毎月の給与から控除される社会保険料はどうなるのでしょうか。給与がもらえないのに社会保険料が天引きされれば、給与がマイナスになってしまいます。

ただし、産休中の社会保険料は支払いが免除されます。育休中も扱いは同じです。

具体的な免除期間は、産休に入る「開始月」から「終了予定日翌日の月から前月」までです。もちろん、この間も被保険者資格は持続します。

この制度は育休も同様です。例えば産休と合わせて子供が1歳になるまで育休を取得したら、1年3ヶ月程度の間、社会保険料が免除されます。

産休前の最後の給料がでるのはいつ?

産休前の最後の給料は産休に入った月の分まで、通常の支給日と同様に支払われます。

例えば給料が毎月15日締めの25日払いの場合、2月28日に産休に入ると、翌月3月25日に産休前に働いた2月16日〜2月27日分の給料が支払われます。

産休に入る月の給料はどうなる?

産休に入る月の給料は会社の規定にもよりますが、出勤日数を日割り計算した額が支払われます。

それに加え、社会保険料は前月分を支払う仕組みのため、産休に入る月の給料から社会保険料が控除されます。結果的に、産休前の最後の給料はいつも支給されていた金額より少なくなります。

産休中に支給されるのは給与ではなく手当金

先述の通り、産休中は会社から給与は支払われません。代わりに、健康保険・共済組合などの公的医療保険や雇用保険から各種手当金を受け取れます

産休・育休の時期ごとに受け取れる手当には様々な種類があります。手当金の金額は、産休に入る前の給料の平均額(標準報酬月額)で変わるものもあります。

受け取るには申請が必要なため、あらかじめ詳細を確認しておくことが必要です。この項目では、産休・育休中に受け取れる手当金について解説します。

出産・育児に関する手当金一覧

出産・育児休業中に給料代わりの収入源となる手当金は、それぞれ金額や支給時期が異なります。

手当金は給料とは違う点が多々あり、注意しないと家計のやりくりに影響が及びます。

それぞれの手当金の特性を知り、いざという時に焦らず対処できるように備えておきましょう。

出産育児一時金

  • どこから支給されるか:公的医療保険(健康保険、共済組合など)
  • いつからいつまで支給されるか:出産時
  • もらえる金額の計算方法:1児につき42万円(産科医療保障制度未加入の医療機関で出産した場合は、1児につき40.4万円)
  • お金が振り込まれるのはいつ?:申請してから約1ヶ月〜2ヶ月後

出産は公的医療保険が適用される「傷病の治療」ではないため、被保険者でも保険は適用されません。このため、支払う医療費が高額になってしまいます。

一方、公的医療保険には出産費をカバーする制度が存在します。これが、出産育児一時金です。

出産育児一時金には、「直接支払制度」「受取代理制度」「産後申請」の3種類の支払い方法があり、産後申請以外は出産予定日2ヶ月前までの申請が必要です。

直接支払制度は公的医療保険に医療機関が直接申請を行い、受取代理制度は自分で書類などの手続きを行い申請をします。

産後申請は、出産にかかる医療費を自分で支払い、後から公的医療保険に請求する方法です。出産育児一時金の申請期限は出産翌日から2年間なので、忘れないよう注意が必要です。

出産手当金

  • どこから支給されるか:公的医療保険(健康保険、共済組合など)
  • いつからいつまで支給されるか:出産予定日42日前(出産が遅れた場合は、出産予定日から出産日までの日数も含む)から産後56日まで
  • もらえる金額の計算方法:【1日あたり】支給開始日以前12ヶ月間の各標準報酬月額の平均額÷30日✕(2/3)

出産手当金は給料がもらえない産休中の大事な収入源で、金額は産休に入る前の平均給与や諸手当の金額によって変わってきます。

標準報酬月額は社会保険料の算出に用いられ、給与に応じて健康保険組合や年金機構によって定められます。通勤手当や残業代、ボーナスなども含めた月平均の給料だと考えて差し支えありません。

出産手当金の1日あたり支給額算出時も、標準報酬月額を基にします。

例えば、支給開始日以前12ヶ月間の各標準報酬月額の平均が27万円の場合、270000÷30日×(2/3)で6000円です。この金額で、支給期間を98日として計算すると、計58万8000円です。

この計算式を使って自分で計算することも可能ですが、不安な場合はあらかじめ加入している公的医療保険に問い合わせましょう。

出産手当金は「出産に伴い収入が中断する人のための制度」なので、女性にしか支給されません。配偶者の男性は支給対象外なので注意してください。

育児休業給付金

  • どこから支給されるか:雇用保険(公務員の場合は共済組合)
  • いつからいつまで支給されるか:産後58日後(8週間後)から赤ちゃんが1歳になるまで
  • もらえる金額の計算方法:【1ヶ月あたり】休業開始時賃金日額✕支給日数✕67%(ただし、育児休業181日目〜終了日は50%)

産休中に支給される出産育児一時金や出産手当金と異なり、育児休業給付金は育休中に受け取れるお金です。

一般の会社員は加入している雇用保険から、公務員は共済組合から支給されます。

育児休業給付金の支給額は、「休業開始時賃金日額✕支給日数✕67%」で、休業開始から180日経過すると割合が50%に変わります。

計算に用いる「休業開始時賃金日額」は、休業開始日前6ヶ月間の残業代なども含めた総支給額を180で割った金額です。

育児休業給付金の支給合計額を計算するには、67%の期間と50%の期間で別々に算出し、最後に足し上げる方法が簡潔です。

児童手当

児童手当は、0歳から中学校卒業(15歳の誕生日後の最後の3月31日まで)の児童を養育している親に支給されるお金です。

支給額は0歳〜3歳未満が一律15000円で、3歳以上〜小学校卒業までが10000円(第三子以降は15000円)で、中学生が10000円です。所得制限があり、一定所得以上だと5000円になります。

児童手当を受け取るためには、子供が産まれた際に住民票がある市町村に「認定請求書」を提出します。これは、別の地域から引っ越して受給を継続するためにも、15日以内に済ませる手続きなので注意が必要です。

児童手当の受給を続けるためには、最初の申請に加えて毎年6月に「現況届」の提出が必要です。提出を忘れると、6月以降に支給されなくなります。

現況届の提出を促す封書が事前に各自治体から送付されます。忘れずに申請を済ませましょう。

産休中の手当が支給される条件は?

出産育児一時金や出産手当金など、産休中に支給される様々な手当について解説しましたが、必ずしも全員がもらえるわけではありません。一定の支給条件がある手当もあります。

出産手当金の支給条件は以下の通りです。

  • 妊娠4ヶ月以降の出産
  • 1年以上継続して勤務先の健康組合に加入している
  • 産休中の給与が3分の2未満または受け取っていない

育児休業給付金の主な支給条件は以下の通りです。

  • 育児休業開始日前2年間に11日以上働いた月が12ヶ月以上ある
  • 育児休業中に休業開始前の給与の8割以上を支給されていない

つまり、出産時期や状況によって手当金がもらえない可能性もあります。

支給金額は産休・育休に入る前の給料に左右され、実際にもらえる金額は少なくなるケースがほとんどです。

産休・育休中の手当をしっかりもらいたいなら

給料が出ない産休・育休中に頼りになる手当金は様々ありますが、支給には条件があることを紹介しました。

産休・育休中に支給される各種手当の特性を知ったうえで、満足できる金額を受け取るにはどうすればいいのか解説します。

パートと正社員で手当金はどの程度変わる?

産休中・育休中の手当は、パート勤務でも一定の条件を満たせば受け取れますが、給与によって金額が変わってくる手当があります。

出産手当金と育児休業給付金の支給額は、休業開始前の残業代・手当などを含めた給与をもとに計算されます。

正社員はフルタイム勤務が多いうえに、残業や住宅手当などの諸手当も支給されるので、産休・育休の手当の支給額もパート勤務に比べると高くなります。

一方で、パートなどの非正規社員の場合は、まず産休・育休の手当を受け取るために様々な条件をクリアしなければいけません。

出産手当金は「休業後に職場復帰する」「勤務先の健康保険に本人が加入している」が支給条件です。夫の健康保険組合の扶養に入っている場合は受け取れません。

育児休業給付金は「休業後に職場復帰する」「雇用保険に加入している」「休業開始前2年間の間で11日以上働いた月が12ヶ月以上ある」の3つが支給条件です。

上記の条件をクリアできても、パートなどの非正規社員は正社員より給与が低いことが多いため、手当の金額も低くなってしまいます。

つまり、産休・育休中も金銭面で充実したサポートを受けるには、給与面で待遇の良い会社で働くしかありません。

転職を考えているなら早めに

前項で、正社員とパート勤務などの非正規社員は給与額に差があり、それを基に算出される産休・育休の手当の金額にも差が出ることを解説しました。

同じ正社員の間でも、会社や勤務年数で給与や諸手当などに差があり、必ずしも満足できる金額を受け取れるとは限りません。

産休・育休中に受け取る手当は、就業時の給料よりも少額であることがほとんどです。産休・育休中も十分な金額を手にするために、給料が良い会社に転職することもおすすめです。

転職する場合の注意点として、転職直後は育休を取れないケースもあることを念頭に置いておきましょう。

子供は授かるものなので、いつ妊娠が発覚するかは誰にも分かりません。だからこそ、待遇改善のために転職をする場合、早めに行動を始めることが大切です。

将来産休・育休取得を考えている人におすすめの転職エージェント

産休・育休の取得を前提とした転職活動は、なかなかひとりでは進めにくいものです。

自分で転職活動をして希望した会社に採用されたとしても、面接での話と社内の実態が実は全然違うものだったという結末にもなりかねません。

そういったミスマッチを防ぐため、将来産休・育休取得を考えている方へおすすめの転職エージェントをご紹介します。

パソナキャリア

パソナキャリア

パソナキャリアは、全世代におすすめのエージェントですが、女性の転職にも力を入れており、産休・育休取得を考えている人にもおすすめです

求人数も多いですが、それ以上に、業界トップレベルの丁寧なサポートに強みを持っており、転職についてじっくり検討することができます。

女性の転職実績が豊富なアドバイザーが多数在籍していますし、女性のキャリアアドバイザーに相談することもできます。

まずは登録して、転職相談を行ってみてください。

パソナキャリアの公式サイトパソナキャリアの評判と口コミについて詳しく知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。 パソナキャリアの評判は?629人の口コミ調査の結果

リクルートエージェント

リクルートエージェント

リクルートエージェントも、産休・育休取得を考えている人におすすめです。

まず、業界トップの求人数を扱っているので、いろいろな選択肢を検討することができます

キャリアを重視したい、家庭と両立させたいなど、さまざまなニーズに合った転職を実現することができます。

また、転職実績が非常に豊富で、質の高いアドバイザーが多数在籍しています。

女性のアドバイザーももちろんいるので、気軽に相談してみてください。

リクルートエージェントの公式サイトリクルートエージェントの評判と口コミについて詳しく知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。 リクルートエージェントは評判が悪い?500人の口コミ調査の結果

産休中の給与についての不安は転職のプロに相談しよう

公務員ではなく、一般企業の会社員は産休中の給与は支払われませんが、産休中・育休中に様々な手当を受け取れます。

産休・育休手当は出費がかさむ出産・育児の時期に大変助かる収入源ではありますが、条件を満たさなければ支給されません。

支給額は給与額や雇用形態に左右され、就業時の給料より少なくなることがほとんどです。

お金の心配をすることなく、安心した産休・育休期間を過ごすためには、現状より待遇の良い会社に転職することも選択肢の一つです。

出産・育児を見据えた転職について詳しいエージェントを選び、早めに行動を起こしていざという時に困ることが無いようにしましょう。