うつ病から転職を考えている方はいませんか?
この記事を読んでいる皆さんの中には、仕事がとてもつらくて、今すぐにでも逃げ出してしまいたいと思っている人もいるのではないでしょうか。
筆者も、躁うつ病という心の病で転職を経験したことがあるため、そのようなつらさはよく理解できます。
この記事では、躁うつ病からの転職を成功させた私が、経験者だからこそ語れる「うつ病からの転職を成功させる3つのステップ」を紹介します。
目次
各エージェントに「良い転職先があれば、すぐに転職したい」と伝え、優先的にサポートしてもらう。
担当者との相性を確認しながら本命のエージェントを1社に絞り、本格的な転職活動を開始する。
うつ病からの転職成功ステップ①まずは転職ではなく休職する
「仕事がつらい」と思ったら、「今すぐにでも転職しなければ」と考えるのは普通のことです。しかし、うつ病の症状が出ているときに転職するのは危険です。
まずは休職し、冷静に考える時間を作ることをおすすめします。
休職をおすすめする理由:再発のリスクを減らせる
うつ病の症状が出ているときに、転職ではなく休職をおすすめするのは、うつ病が再発してしまうリスクを軽減できるからです。
転職すると、大きく環境が変わります。環境の変化というものは、良いものでも悪いものでも、人間の精神に大きな負荷をかけます。
そのため、うつ病の症状が出ているときに転職してしまうと、大きなストレスがかかり、体調を悪化させることになりかねません。
時には、そのストレスによって、快方に向かっていた症状が再発してしまう恐れがあります。
また、転職しようと考えて仕事を辞めてしまうと、給料がなくなることによる金銭的な不安にさいなまれることもあります。
うつ病がつらく、「転職したい」と思っても、まずは転職ではなく、休職をして自分を見つめなおす時間を作ることをおすすめします。
休職の方法
「休職」と聞くと、面倒な手続きが必要になると思うかもしれませんが、複雑な手続きは必要ありません。
精神科や心療内科の医師の書いた診断書を会社に提出すれば、傷病休暇を取得できます。
診断書ができるまで一週間ほどかかる場合もあるので、医師から休職を言い渡された時点で会社に報告することをおすすめします。
休職に関する決まりは就業規則に明記されていることがほとんどですので、内容をあらかじめ確認しておきましょう。
うつ病による休職は、労働者の当然の権利です。仕事のことは忘れて、じっくり休養しましょう。
筆者の実体験:2カ月半の休職で自分を見つめなおせた
筆者の場合、ぼんやりと転職のことは考えていましたが、休職期間中に腰を据えて転職について考えることができました。
主治医からも「症状がつらいときに転職するのはよくない」と言われていたため、2カ月半かけてじっくりと検討し、転職を選びました。
今振り返ってみると、症状が一番つらかったときには、冷静な判断をするのは難しかったと思います。
休職して身分と給料が保障されている状態でじっくりと将来について考えられたのは、自分の人生にとって大きな収穫でした。
うつ病からの転職成功ステップ②うつ病が再発しにくい仕事を選ぶ
休職して体調を整え、「転職しよう」と決意したら、転職先について考える必要があります。
その際には、自分のこれまでの経験を踏まえて、うつ病が再発しにくい転職先を選ぶようにしましょう。
うつ病が再発しにくい仕事の選び方:自分のストレスの原因を知る
一口に「うつ病が再発しにくい仕事」と言っても、想像するのは難しいかもしれません。そこでおすすめするのが、自分のストレスの原因を知ることです。
これまでしていた仕事の中には、楽しいと感じることもあれば、苦痛に感じることもあったはずです。中には耐えられないほどつらいこともあるかもしれません。
そのような「働くうえでストレスに感じること」が何なのかが分かれば、それを避けられる仕事を選ぶことで、うつ病の再発リスクを下げられます。
これまでの自分の仕事を振り返って、何がストレスの原因だったのかを理解し、転職先選びに役立てましょう。
おすすめの仕事は?BtoBの仕事を選んでストレス軽減!
筆者の場合、クレーム処理が大きなストレスで、自分が標的になっていなくても、他人の怒号を聞いているだけでもつらい思いをしていました。
そのため、転職先を選ぶ際には「一般消費者とのかかわりがないこと」を条件とし、BtoBの仕事を選びました。
これまでの仕事のように理不尽なクレームを受けることがなくなり、大きなストレスもなく働くことができています。
うつ病からの転職成功ステップ③転職エージェントに登録する
体調が良くなり、「そろそろ転職活動を始めよう」と思えるまで回復したら、転職エージェントに登録するのがおすすめです。
転職エージェントをおすすめする理由:マンツーマンのサポートが受けられる
うつ病からの転職に転職エージェントをおすすめする一番の理由は、転職のプロによるマンツーマンのサポートが受けられることです。
うつ病からの転職には、不安がつきものです。時には、転職活動に対する不安がストレスとなり、うつ病の症状を悪化させてしまう可能性もあります。
そんなとき、転職エージェントを利用すれば、転職のプロがあなたの相談に乗ってくれるので、不安を軽減させることができます。
うつ病のせいで転職が不利にはならない!隠す必要はない
転職エージェントの担当者は、あなたの転職を成功させることが仕事です。そのため、うつ病であることを隠す必要もありません。
正直に打ち明けることで担当者がフォローしてくれますので、「転職に不利になるかもしれない」と思っても伝えておくことをおすすめします。
筆者の実体験:元気になる前はスカウトサービスもおすすめ
筆者は休職中にも「早く転職活動を始めなければ」と不安でしたが、体調が良くなかったため、転職活動ができるほどの気力はありませんでした。
そこで利用していたのが、プロフィールを登録すれば、興味を持った企業から直接スカウトが届く「スカウトサービス」です。
スカウトサービスは、企業からのスカウトを待つだけで、返事をする義務もないので、気力がないときでも利用できました。
dodaやビズリーチといった大手エージェントも提供しているサービスなので、まずはここから始めるのもおすすめです。
うつ病で再就職が不安な人におすすめな転職エージェント
転職エージェントは国内に数多くありますが、うつ病からの転職におすすめなのは、サポートの手厚い転職エージェントです。
ここでは、サポートが手厚く特におすすめできる転職エージェントを、利用者の口コミとともに紹介します。
パソナキャリア
パソナキャリアは、担当者がとても優しく、利用者目線で一緒に転職を考えるという姿勢に定評のあるエージェントです。
社会貢献を重視している社風から、エージェントと利用者、企業の「三方良し」をモットーとした転職支援を提供しています。
年収やスキルだけでなく、利用者の背景なども考慮して丁寧にマッチングしてくれるので、うつ病の転職でも安心です。
利用者の口コミでも、担当者の丁寧なサポートを評価する声が多く聞かれました。
29歳 女性 事務員
45歳男性・製造業
リクルートエージェント
リクルートエージェントは、国内で最も豊富な求人を扱う転職エージェントです。
そのため、うつ病の方でも始めやすい求人が見つかりやすく、まずは相談してみることをおすすめします。
サポート体制も充実しており、書類添削から、面接対策など、うつ病の方も安心して利用できます。
実際に利用した人も、求人数の多さやサポートの充実さについて評価する声が多かったです。
28歳 女性 不動産営業
30歳 女性 営業
うつ病は隠すべき?どんな転職支援がある?うつ病転職Q&A
転職は、今後の人生を左右する大きな決断です。通常の転職ですら不安が伴うのですから、うつ病を抱えている人の不安はなおさらです。
ここでは、実際に躁うつ病で転職した筆者が「ここが不安だった」というポイントを中心に、うつ病からの転職のQ&Aを紹介します。
転職活動中にうつ病は隠すべき?
うつ病であるということは、転職活動において不利になることもあります。そのため、症状が落ち着いている場合は転職先に告げる必要はありません。
しかし、書類などで病歴について尋ねられた場合には、正直に答える必要がありますので注意してください。
とはいえ、「うつ病を隠すのは不安」、「また再発するかもしれない」と考える人もいることでしょう。
そのような場合、うつ病を隠さずに転職することも可能です。事実、筆者も躁うつ病であることを隠さずに転職活動をしました。
メンタルヘルスに理解があり、うつ病の有病者であることを認めてくれる企業は多くはないものの、確かに存在します。
そのような企業の見分け方としては、社員へのメンタルヘルス研修を実施していること、産業医を置いていることなどが挙げられます。
自分の体調に応じて、うつ病を隠すか打ち明けるかを選ぶことをおすすめします。
うつ病を隠してばれるのが心配…
うつ病を隠して転職したとしても、「過去にうつ病で休職していたことが転職先にばれてしまうのでは」と不安に思う人もいるかもしれません。
しかし、雇用保険などの書類に「うつ病で休職していた」という事実は残りませんので、転職先にばれる心配はありません。
ただし、休職期間が長くなり、無給の期間があった場合、源泉徴収票から「給料が支給されていない時期があった」ことはばれてしまいます。
ですが、その場合も「うつ病による休職」などの表記はされませんので、源泉徴収票からうつ病がばれることもありません。
症状がよくなり、うつ病であることを隠して転職することを決めたら、後ろめたい気持ちを持たずに堂々と振舞うことをおすすめします。
障害者雇用の枠で働ける?
うつ病になると、医師の診断次第では精神障害者手帳の取得ができます。手帳を取得するメリットは、障害者雇用の枠の対象になれることです。
一定以上の従業員を有する民間企業は、従業員数に対して決められた割合以上の障害者を雇用する義務があります。
したがって、企業はその割合を満たすために障害者の雇用を進めているため、障害者手帳があると転職が有利になるのです。
精神障害者手帳があれば、障害者雇用のための転職サイトも利用できるので、うつ病であることを公表しながら転職したい人には有効な手段です。
とはいえ、手帳の取得は医師の診断が必要であり、自分の判断だけで取得することはできません。
障害者雇用の枠で転職することを考えている場合には、まずは主治医に相談することをおすすめします。
うつ病からの転職支援はどんなものがある?
うつ病からの転職には、公的なものや民間によるものなど、さまざまな支援があります。主なものを紹介します。
うつ病からの転職支援①経済的な支援
うつ病で働けなくなったときに受けられる公的な経済支援として、傷病手当があります。
傷病手当は、働けなくなったときに健康保険組合から支払われるもので、健康保険に加入していて以下の条件を満たしていれば受給できます。
- 業務外の病気やけがで休業していること
- 仕事に就くことができないこと
- 4日間以上働けていないこと
- 休業中の給料が支払われていないこと
申請には傷病手当金申請書の記入が必要です。様式は加入している健康保険によって異なりますので、自分に合った申請書を用意してください。
なお、申請書は自分だけでは作成できず、会社と医師に記載してもらう必要のある箇所がありますので、注意してください。
うつ病からの転職支援②再就職への支援
うつ病による休職を経て、いきなりフルタイムの勤務に復帰するのはストレスが大きいものです。
そこで、再度働けるようになるためのリハビリとして、「リワーク」という再就職支援があります。
通所型の施設に通い、就業のリズムに体を慣れさせていくもので、市区町村の役所で手続きを行えば利用できます。
また、うつ病などを抱えた人の一般企業への就職を支援する施設として、「就労移行支援事業所」があります。
障害者などを対象に、就職に必要なスキルの向上などのサポートを行う施設で、全国に3,000カ所以上の拠点があります。
いきなり働くのは不安だという人は、これらのサポートを利用するのもおすすめです。
転職を繰り返すことのないよう、じっくり休んでじっくり考えよう
うつ病からの転職を成功させるには、まずは「転職して仕事をがんばろう」という気力が起きるまで回復するのを待つことが重要です。
しっかり休んで、じっくり自分の今後の生き方について考えてから、転職活動への一歩を踏み出してください。