転職エージェントの利用を検討している人の中には、「転職にはとりあえず転職エージェントを使っておけば間違いない」と考えている人もいるのではないでしょうか。
実は、転職者の大きな味方である転職エージェントも、活用方法を知っておかないと、思わぬ落とし穴が潜んでいます。
この記事では、転職を成功に導くための転職エージェントの賢い使い方を紹介します。
各エージェントに「良い転職先があれば、すぐに転職したい」と伝え、優先的にサポートしてもらう。
担当者との相性を確認しながら本命のエージェントを1社に絞り、本格的な転職活動を開始する。
転職エージェントの賢い使い方【活用方法9選】
求人紹介や書類添削、面接練習などを無料で利用できる転職エージェントは、転職を希望する人であればぜひ使いたいサービスです。
実は、転職エージェントには「賢い使い方」があり、上手に使わないとかえって転職が失敗する危険性があります。
この記事では転職エージェントの「賢い使い方」を伝授します。
転職エージェントの賢い使い方①面談の回数・内容などの流れを知る
転職エージェントを賢く使うには、気になることを放置せず、担当者と密にコミュニケーションをとることが大切です。
そのためにはまず、転職エージェントの面談から内定までの流れを知っておきましょう。一般的な流れは以下の通りです。
- 登録(web経由が主流)
- 担当者から連絡が来るので、初回面談の日程を決める。
- 登録内容に基づいて面談が行われ、求人が紹介される。希望が曖昧な場合などは、複数回の面談を通して条件を明確にしていく。
- 紹介された求人の中から、転職エージェント経由でエントリーする。
- 書類や面接などの選考に進む。書類添削や模擬面接などのサポートがある。
- 内定獲得。転職エージェントの担当者に年収や入社日などの交渉をしてもらう。
- 入社
この流れの中でも、キャリアに関する相談に乗ってもらったり、面接の練習をしてもらったりと、さまざまなサービスを受けられます。
転職エージェント利用の流れ【7つのSTEP】転職エージェントの賢い使い方②面談では希望を明確に伝える
転職活動を成功させるためには、転職先に求めること明確にすることが不可欠です。
ゆずれない条件を明確にして優先順位を付け、担当のキャリアアドバイザーに伝えておきましょう。精度の高い案件を紹介してもらうためです。
「海外で活躍したい」「プロジェクトマネージャーになりたい」などの明確なキャリアビジョンを実現するために転職する人もいれば、人間関係を改善したい、休日が十分とれるところがいいという人もいるでしょう。
「なんとなく今の職場がおもしろくない」のようなあいまいな理由で転職活動をしていると、どの案件を紹介されてもしっくりこないでしょう。
特に初回の面談は経歴や希望を詳しく伝えましょう!
転職エージェントに登録する際は、職歴や転職先の希望をできる限り詳しく記入しましょう。特に履歴書や職務経歴書は、事前に送付しておくことをおすすめします。
情報が足りないと、担当者との初回の面談が薄い内容になってしまいます。
登録後最初に行われる面談は、転職エージェントとの面談の中で最も重要と言っても過言ではありません。
短い時間で的確に自分の状況や希望を伝えられるように、面談でよく聞かれる内容はしっかり回答を準備しておきましょう。
面談でよく聞かれる内容は、これまでの経歴や仕事内容、転職の理由や転職後に目指すキャリア像などです。想定される質問への回答は事前によく考えておきましょう。
その場で考えて答えるのと、事前に考え抜かれた答えを用意するのでは、コミュニケーションの質が大きく異なります。自己分析を入念にしておきましょう。
転職先の希望は、職種や業種、希望勤務地、希望年収の3点を伝えましょう。
もちろん、煮詰まっていない部分は正直に伝えるしかありません。担当者が一緒になって考えてくれるのも、転職エージェントを利用するメリットです。
転職エージェントの面談って何をするの?必要な準備や当日の服装まで!転職エージェントの賢い使い方③ウソの内容は伝えない
職歴などに恥ずかしい点があると、隠したくなるのは人間の心理です。しかし、転職エージェントの担当者との面談では、決して嘘をついてはいけません。
キャリアアドバイザーは、登録者の状況を正確に理解しないと適切なアドバイスやサポートができません。
担当者に嘘をついて選考に進んでも、面接の段階でウソがわかれば、ほぼ確実に落とされます。
内定を得られたとしても嘘がばれたら最悪の場合、内定取り消しもあり得ます。
入社後も「信頼できない人間だ」「業務でミスしてもウソをついてごまかすのではないか」などと疑われ、信頼は失われます。
転職エージェントの担当者は、企業の面接官とは違います。転職先のミスマッチを防ぐためにも、自分に不都合なことも正直に話しておきましょう。
頻繁にコミュニケーションをとって信頼関係を築こう!
相手に嘘をつくのは、相手を信頼していない証拠でもあります。信頼関係を構築するには、頻繁にコミュニケーションを取ることが大切です。
転職活動中は多忙になることが多いですが、転職エージェントの担当者とはなるべく頻繁にコミュニケーションをとるようにしましょう。
コミュニケーションを通して、信頼できる人・信頼できない人を見極めることができます。信頼できないと思えば、その転職エージェントは利用を控えましょう。
信頼関係のもとで、嘘をつかず正直に状況や希望を伝えられれば、担当者は、よりあなたの希望に近い求人を紹介してくれるようになります。
サポートもあなたの考えに沿ったものになることでしょう。
それだけでなく、頻繁に連絡をとることで、担当者に熱意が伝わり、サポートが手厚くなる可能性もあります。
「熱意」の重要性は、次の項目で解説します。
転職エージェントの賢い使い方④転職への熱意をアピールする
転職エージェントの担当者も人間です。本気で転職したいと考えている人を優先的にサポートしたくなるのは当然のことです。
転職への熱意をアピールし、担当者にやる気になってもらうことが、転職エージェントの重要な活用法の一つです。
「今すぐにでも転職したいです」と伝えるのも効果的です。
他にも、転職エージェントは「すぐに転職してくれそうな人」を優先してサポートする特性があります。その理由は後の項目で解説します。
注意!「いい案件があれば」は禁句
転職エージェントの担当者に転職の希望時期を聞かれた際に、「いい案件があれば」と伝える人がいますが、あまりおすすめできません。
転職エージェントが優先的にサポートするのは「今すぐに転職したい」利用者であり、「いい案件があれば転職したい」利用者は優先度が下がるからです。
「いい案件があれば」と伝える利用者は「熱意がない」と判断され、サポートだけでなく案件の紹介まで後回しにされるおそれがあります。
転職エージェントを賢く使うには、なるべく早く転職したい旨をアピールし、「いい案件があれば」と伝えるのは避けるのが賢明です。
転職エージェントが「すぐに転職する人」を優先する理由
転職エージェントは無料でさまざまなサービスを受けられますが、慈善事業ではなく、企業からの成功報酬で成り立っています。
利用者を企業に入社させれば、利用者の年収の30%前後の報酬が手に入るため、「転職への熱意が高い人」を優先してサポートするのです。
この「成功報酬」の仕組みを良く理解しておく必要があります。
悪質な転職エージェントの中には、言葉巧みに利用者を誘導し、希望に沿わない求人でも転職を急かしてくるところがあります。
「転職エージェントの使い方」を知らないと、担当者の営業トークに乗せられ、希望していない企業へ転職してしまう危険性があります。
ノルマや売り上げしか考えない悪質な担当者の口車に乗せられて後悔しないためにも、転職エージェントの仕組みを理解しておきましょう。
転職エージェントの仕組みとは|無料の理由を知って使い倒そう転職エージェントの賢い使い方⑤主導権は自分が握る
悪質な転職エージェントを見極め、希望と異なる転職をして後悔しないためには、「主導権を自分が握る」ことが大切です。
成功報酬型の転職エージェントの中には、売り上げを優先するあまり、利用者のことを考えないで転職を急かしてくる悪質なところもあります。
「担当者に言われるがまま、ブラック企業に転職してしまった」などの失敗談は良く聞く話です。
転職をするのは担当者ではなく、自分自身です。自分が主導権を握り、重要な決断は自分で下しましょう。
アドバイスを頼る部分と、自分で決める部分の線引きが必要です。希望と異なる提案には「NO」とはっきり言う有機が必要です。
希望に合わない案件をごり押しされても流されない
希望に合わない案件は、はっきり断らないと悪質な転職エージェントの場合は勝手に応募していることすらあり得ます。
転職エージェントは、紹介した求職者が企業に採用されたときに報酬を受け取る成果報酬型のビジネスです。
このため、とにかく受かりやすそうな案件ばかり紹介してくるキャリアアドバイザーもいます。「とにか受けてみて」などと、ごり押ししてくることもあります。
ごり押ししてくる場合は毅然と断り、流されないことが転職エージェントを賢く使うための鉄則です。
主導権を握るコツ:担当者をシビアな目で判断する
転職エージェントには、たくさんのキャリアアドバイザーが在籍しています。中には、あまり腕の良くないキャリアアドバイザーもいるのが実情です。
もちろん、自分のノルマを優先して利用者の希望に沿わない求人をごり押ししてくる悪質なキャリアアドバイザーもいます。
転職活動の成否はキャリアアドバイザーの質が大きく関わっています。
面談の回数を重ねる中で、「この人は信頼に足るキャリアアドバイザーなのか」をシビアな目線で見極めましょう!
キャリアアドバイザーの質を冷静な目で判断し、「腕が悪い」「悪質」などと判断したら、その転職エージェントは利用しない方が賢明です。
確実に見極めるためにも、複数の転職エージェントを併用することをおすすめします。それは次の項目で解説します。
転職エージェントの賢い使い方⑥転職エージェントを複数併用する
悪質だったり、相性が合わない転職エージェントを見極めるためには、複数の転職エージェントを併用して比べることが大切です。
複数の転職エージェントを利用することで質や相性を比較し、自分に最も適したところを選びやすくなります。
「合わない」「悪質」と思った転職エージェントは利用を控え、良質な転職エージェントを厳選して使いましょう。
特に相性の良い転職エージェントと密にコミュニケーションを取ることで、あなたの希望やキャリアビジョンが正確に伝わり、良質な求人が紹介されるようになります。
このため、転職エージェントの質と担当者との相性が、転職の成功率を大きく左右するのです。
当サイトが転職エージェント利用者100人にアンケートをとった結果、転職エージェントを複数併用する効果は1社しか利用しない場合に比べ、以下のとおり絶大です。
- 転職に成功した人の割合は+19%
- 年収UPに成功した人は+10%
- 平均年収増加額は4倍高い
なお、全体の80%の人が転職エージェントを複数併用し、平均2.4社利用しているので、転職エージェントの複数利用は珍しくありません。
転職エージェントの複数利用の効果は?メリット5つ、デメリット3つ自分に合わない担当者は変えてもらう手も
多くの転職エージェントには、担当者による当たり外れがあります。良質な求人を持っていても、自分に合わないキャリアアドバイザーに当たる可能性はあり得ます。
上記で「複数の転職エージェントを併用して、自分に合ったところを厳選する」のが「賢い使い方」と解説しましたが、まず担当者を変えてもらう手もあります。
「何となく違うな」「悪質だな」と思っても、その転職エージェントの社風ではなく、担当者個人の問題であるケースもあるからです。
「ハズレ」の担当者にあたった場合は、まず担当者を変えてもらい、求人の数・質などから総合的に判断して見極めることも大切です。
「帯に短したすきに長し」ということわざがありますが、どの転職エージェントも、あなたの希望・相性に全て合致しているとは限らないからです。
担当者を変えてもらう際には、転職エージェントの「お客様相談窓口」から依頼すれば波風が立ちません。
転職エージェントの賢い使い方⑦企業の内部情報を教えてもらう
自分が応募すべき求人を見定め、内定を獲得するためには、企業の内部情報を詳しく知っておく必要があります。
このため、求人元の企業の内部情報に詳しい転職エージェントを見極めることが重要です。
優秀な転職エージェントなら、業界の展望や企業の経営状況だけでなく、職場の人間関係や休暇のとりやすさなどのディープな情報にも精通しています。
採用面接で自分から聞きにくいことは、転職エージェントを通して確認してもらうこともできます。
また、企業の内部情報は書類添削や面接対策でも役に立ちます。その企業がどんな人材を欲しがっているのかを確認し、それに合ったアピールを考えられるからです。
転職エージェントの賢い使い方⑧面接後にフォローを依頼する
転職エージェントを利用すると、面接後、改善に向けてフォローをしてもらえます。面接が苦手な人にとって有用でしょう。
面接後のフォローには2種類あります。
- 転職エージェントの担当者からのフィードバック
- 企業の採用担当者へのフォローアップ
担当者からのフィードバックでは、面接後に今後の面接対策についてアドバイスをもらえます。
また、面接内容の聞き取りを通して、利用者にその会社が合っているのかを確認し、求人紹介の精度を高める目的もあります。
企業の採用担当者へのフォローアップでは、転職エージェントの担当者が企業の採用担当者に連絡し、面接した利用者の採用を後押してくれます。
面接中に伝えきれなかったアピールポイントを補足してもらえるので、内定が出る可能性が大きく上がります。
企業の人事担当者から助言を受けられることも
転職エージェントを利用すれば、面接後に企業の人事担当者からコメントをもらえることがあります。
実際に面接を担当した人事担当者がどのように感じたかがわかれば、次の面接に大いに役立ちます。他の会社を受ける際にも役立つアドバイスをくれることも多いです。
コメントが欲しい時は、面接後に転職エージェントの担当者に依頼しましょう。評価点、改善点を指摘してくれるので、真摯に受け止めて次回までに修正しましょう。
面接官からのコメントは、自分ひとりで転職を進めていては受けることができません。
転職エージェントの賢い使い方⑨給与などの交渉をしてもらう
よい求人なのに「あと少し年収が高ければいいのに」と不満点が存在することもあるでしょう。転職エージェントを利用すれば、給与などの条件を交渉してもらえます。
交渉のタイミングは、最終面接が終わってから内定が出るまでの間です。交渉してほしい内容がある場合、最終面接後に早めに伝えましょう。
もちろん、これらの交渉は、あなたの評価が高いほど成功率が上がります。可能であれば、競合他社の内定を得て、その企業の給与を交渉材料にするのも効果的です。
他にも、入社日や役職・ポジションの交渉もしてくれることがあります。転職エージェントが企業にあなたを売り込み、より好条件で転職できるチャンスが広がります。
転職エージェントの使い方に関するよくある質問
ここまで、「転職エージェントの賢い使い方」を9項目挙げました。ただ、まだ気になる点がある人も多いのではないでしょうか。
ここでは、転職エージェントの使い方に関するよくある質問と、その答えを紹介します。
転職エージェントは「使わない方がいい」という人もいる?
「転職エージェントは使わない方がいい」という人もいます。なぜでしょうか?
これには、「賢い使い方」で述べた転職エージェントの成果報酬型ビジネスモデルが影響しています。
転職仲介実績がそのまま売上高に直結するので、利用者の希望に合わない案件でもごり押ししてくることがあるのです。
これは、「賢い使い方」で紹介したように、主導権を自分で握っておけば避けられるリスクです。
転職サイトやハローワークなどを利用して転職をすることも可能ですが、これらの方法では転職活動のサポートを十分に受けることができません。
転職エージェントを使わないと、エントリーや面接日の調整など面倒な手続きを自分で行わなければならず、手間がかかります。
そのうえ、求人票以上の情報入手は困難で、書類添削や面接練習などサポートも受けられません。
転職先に関する情報が不足し、転職に失敗するリスクがあるほか、書類選考で落とされても理由は推測するしかありません。
これらのデメリットを考慮すると、転職エージェントを利用する方が断然おすすめです。
転職エージェントに登録すべき時期はいつから?
転職エージェントを利用して転職する場合、転職には1カ月から3カ月かかるのが一般的です。
転職したい時期が決まっているのであれば、その3カ月前には転職エージェントへの登録を済ませておきましょう。
とはいえ、転職活動は思い通りに進むものではありません。特に大企業や人気企業の採用面接は応募者数が多く、二次面接と最終面接の間が1カ月ほど空くこともあります。
「希望時期の3カ月前までに登録する」のはあくまでも目安です。早めのスケジュール想定で転職活動に臨みましょう。
転職エージェントの面談でよく聞かれることは?
転職エージェントの面談でよく聞かれる内容は、「過去」と「未来」の2つの視点に分けられます。
- これまでの仕事について(過去)
- これからの仕事に対する希望(未来)
これまでの仕事に関する質問は、具体的な仕事内容、勤務年数、身についたスキル・資格についてが主な内容です。
職歴は、今後の転職活動でアピールするポイントを定めるのに必要不可欠です。履歴書や職務経歴書を用意して、詳しく答えられるよう事前に準備しておきましょう。
これからの仕事に対する希望は、転職先の業種や希望する職種、希望年収など、転職によって叶えたい目標が聞かれます。
紹介してもらう求人を絞り込むために必要な情報です。なるべく具体的に答えられるように準備しておきましょう。
転職エージェントの面談って何をするの?必要な準備や当日の服装まで!転職エージェントの「賢い使い方」をマスターすれば転職成功率が高まる
この記事では、転職エージェントの使い方について9項目に分けてお伝えしました。
転職エージェントは、転職活動を進めるあなたの味方です。登録すれば、担当者がマンツーマンであなたの転職活動を支援し、内定が出るようにサポートします。
ただし、悪質な転職エージェントも中にはいます。後悔しないためには、担当者の言いなりにはならず、自分の希望に沿ってシビアに担当者を見極めてください。
複数の転職エージェントを併用し、自分に合ったところを厳選して転職活動を進めてください。
担当者とコミュニケーションを密にし、信頼関係が構築できれば転職活動はよりスムーズになるでしょう。
面接後にフォローを受けたり、企業の人事担当者にコメントを求められる点も、転職エージェントならではのメリットです。
この記事を読んで転職エージェントをメリットを使い尽くし、満足のいく転職を実現してください。