この記事では「公務員看護師」について、特徴や民間看護師との違いを説明します。
筆者は、民間総合病院から公務員看護師に転職し、約6年間働いた経験があります。筆者の体験をもとにした公務員看護師の実態も紹介します。
公務員看護師を目指す人の中には、以下のような疑問を抱く方も多いでしょう。
- 公務員看護師とは?
- 公務員看護師として働くメリット・デメリットは?
- 公務員看護師になる方法は?
記事では、これらの疑問にお答えします。
目次
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公務員看護師とは?
公務員看護師とは文字どおり、身分が公務員である看護師のことです。公務員なので、雇い主は自治体や国ということになります。
ただ、「公務員看護師」と一括りにまとめても、詳細には以下の3分類があります。
- 地方公務員
- 国家公務員
- 準公務員
最も人数規模が大きいのは地方公務員の看護師で、次いで準公務員、国家公務員となります。
「準公務員」とは何でしょうか?働き方や身分、役割が公務員に近いので、このような呼び方をしていますが、厳密には公務員ではありません。
後で解説しますが「公的病院」に分類される病院で働く看護師のことを「準公務員の看護師」と呼びます。
それぞれ、詳しく見ていきましょう。
地方公務員の看護師
地方公務員とは、都道府県や市町村など「自治体」に雇われる公務員のことです。地方公務員看護師の勤務地には、以下のようなところがあります。
勤務地 | 患者対応の有無 |
---|---|
県立病院・市立病院 | ◯ |
保健所・保健センター | ◯ |
地域包括支援センター | ◯ |
公立の幼稚園・保育所 | ◯ |
公立の高齢者・障害者福祉施設 | ◯ |
公立の看護専門学校、看護系大学 | ✗(教員採用) |
公務員なので給与や待遇は、その自治体の条例で定められた金額によりますが、夜勤対応や呼び出し、救急対応などがある分、病院勤務の方が年収は高くなります。
ただし、県立病院や市立病院は近年、指定管理者に委託したり、「県立(公立)病院機構」という法人を設立して運営する例が増えています。
この場合は身分は公務員ではなく、「機構職員」で準公務員扱いです。
上記の中でも、看護専門学校や看護系大学に務める場合は教員としての採用になるため、患者と接するなどの現場はありません。
国家公務員の看護師
国家公務員とは、国に雇われている人を指します。つまり、国家公務員の看護師は、国の機関に勤める看護師のことで、以下のような職場があります。
勤務地 | 管轄 | 患者対応の有無 |
---|---|---|
宮内庁病院 | 宮内庁 | ◯ |
自衛隊病院 | 防衛省 | ◯ |
国立ハンセン病療養所 | 厚生労働省 | ◯ |
医療刑務所 | 法務省 | ◯ |
陸上自衛隊の衛生科 | 防衛省 | ✗ |
看護系技官 | 厚生労働省 | ✗ |
検疫官 | 厚生労働省 | ✗ |
法務技官 | 法務省 | ✗ |
「国立病院がない!?」と思った方もいるかもしれませんが、国立病院は現在、「国立病院機構」という法人が運営しているので準公務員扱いです。
上記の主な職場の中で、患者対応があるのは宮内庁病院や自衛隊病院、国立ハンセン病療養所、医療刑務所です。
特に自衛隊病院の看護師(看護官)は最近、新型コロナウイルスのワクチン接種で活躍したので知っている人も多いのではないでしょうか。
「技官」は国の機関に勤めて、法案の起草や政策立案を巡って、専門家の立場から関わる職種です。事務職員と机を並べて仕事をすることが多いです。
年収や待遇は国家公務員の給与規定に従います。
準公務員の看護師
「準公務員」という言葉は厳密には存在しません。公益法人や独立行政法人など公的な機関に勤めるため、公務員とほぼ同じ役割・身分のため便宜的にこう呼ばれます。
こうした病院は「公的病院」と呼ばれ、公立病院とは区別して呼ばれます。
準公務員の看護師の勤め先には、以下のようなところがあります。
- 国公立の大学病院
- 国立(県立)病院機構
- KKR病院(国家公務員共済組合)
- 国立がん研究センター
- 赤十字病院(日本赤十字社)
- 済生会病院
- 労災病院
- 健保連病院
- 厚生連病院
大学病院は「国立(公立)大学機構」の職員として、済生会は「社会福祉法人恩賜財団済生会」の職員として働きます。
半官半民のような雰囲気で、民間病院のような風通しの良さに加えて、公務員のような安定性があるのが魅力です。
年収や待遇は、それぞれの法人が独自に定めているほか、公立病院の指定管理者として運営している場合は公務員の待遇に準じます。
仕事内容は看護師なので業務自体は変わりありません。
あくまで私の主観ですが、公務員看護師はとても真面目で正義感が強い方が多い印象です。看護師としてのレベルも一定以上ある方が多かったです。
マニュアルなどがしっかりしているので、きちっと仕事したい方には合っている職場かなと思います。
カルテやカンファレンスなど様々なことが、しっかりとマニュアル化されているので、最初はそれをしっかり読み込み、実践する真面目さが必要だと思います。
逆に、おおらかで臨機応変に仕事をしたい方には、真面目すぎる!と息苦しい環境かもしれません。
やっぱり民間の総合病院とは違ったことも多いので、転職組は戸惑うことも多いと思います。
転職した当時は、転職組同士で病院の愚痴をよく言っていました。
特に「前の病院では~だったからおかしい、変えるべきだ」とずーっと言っていた人は、早々に辞めていく人も多かったですね。
公務員看護師と民間看護師の違いは?
公務員看護師の詳細な分類や勤め先が分かったところで、それでは民間病院に勤める看護師との違いはあるのでしょうか?
所属が公的機関か民間法人かの違いだけでなく、公務員看護師と民間看護師では給与や
この項目では、公務員看護師と民間看護師の違いについて解説します。
公務員看護師と民間看護師の違い(早見表)
以下に公務員看護師と民間看護師の違いをまとめました。気になった項目は以下の本文で解説していますので、読んでみてください。
(準)公務員看護師 | 民間看護師 | |
---|---|---|
主な勤務先 | 公立病院、保健所、公的病院 | 民間病院、診療所 |
運営主体 | 国、地方自治体、公益法人 | 医療法人など |
運営目的 | 公共の利益 | 法人の利益向上 |
運営主体の安定性 | ◎ | △~○ |
運営主体の財源 | 診療報酬、税金 | 診療報酬、補助金 |
雇用の安定性 | ◎ | △~○ |
平均年収 | 505万円 | 490万円 |
賞与・給与の増減 | 年功序列、景気による変動は少ない | 運営主体の業績に影響を受ける |
福利厚生の充実度 | ○~◎(自治体による) | △~◎(法人による) |
夜勤や残業 | 労基法の適用除外 | 労基法による制限あり |
副業 | できない | できる |
雇用保険への加入 | できない | できる |
勤め先・運営目的の違い
病院勤めであれば患者対応をする、という大まかな役割は変わりません。
ただし、自治体運営の病院は大規模なところが多く、救急や産科など一般的に「過酷」「不採算」と言われる診療科を多く抱えています。
これは、公務員看護師が勤める公立病院・公的病院は「国民の命を守る」という役割に特化しているためです。
新型コロナ患者を受け入れる病院が公立病院ばかり、というニュースは耳にした方も多いと思いますが、やはり「不採算でもやる」という面が大きく影響しています。
救急はいつ患者が運ばれてくるか分からない上に、運ばれてくる患者が治療費を払える経済状態なのかも分かりません。
待機時間が長い一方、人数は手厚く配置しておかなければならず、過酷で不採算になりがちです。
産科も突然分娩が入ることがあるうえ、少子化の影響で分娩の数は減ってります。
また、公立・公的病院では治験や研究などに従事することもあります。研究は長期的視点がないとできず、民間病院ではなかなか手が出せません。
一方の民間病院は、患者の命を守る目的があるのはもちろんですが、形成外科に代表されるように「生活の質を向上させる」目的で設置している医療機関もあります。
民間病院は小規模なところが多く、地域に密着した診療をするところもあれば、小回りが利く点を活かして高度先進医療に積極的に挑戦するところもあります。
運営主体の安定性の違い
公務員看護師の所属先は自治体で、準公務員看護師は公的法人に所属します。いずれも「倒産のリスクがない」点で共通しています。
これに対し、民間病院の経営は民間の医療法人などのため、企業と同様に経営破綻のリスクは存在します。
病院が経営破綻するという話はあまり聞きませんが、稀に発生します。特に小規模・ワンマンな経営体制の病院だと、他法人に吸収合併されるところがあります。
また、個人経営の病院や診療所では、院長が高齢で引退するため閉院するところもあります。
平均年収・賞与の増減
公立病院、民間病院ともに、看護師の給与の元となる財源は「診療報酬」です。公立や公的病院であれば、自治体が一般会計から運営費を出していることもあります。
公立病院、民間病院ともに、給与や年収に大きな差はありません。
2019年「病院看護実態調査」によると、3年課程を卒業した新人看護師の初任給は、最も高い「私立学校法人」で28万円、最も低い「厚生連」で25万円です。
入職10年の30代看護師になると、私立学校法人は35万円、厚生連は31万円と差が少し開きます。
新人で月3万円は大きな差に思えますが、民間企業の給与格差を思えばそこまで大きな開きはありません。
賞与は公務員看護師であれば人事院や、地方の人事委員会の勧告に従った倍率が支給されます。民間看護師であれば、病院の業績に連動して支払われます。
当時の年収は500万程度で、給与は基本給25万、手当がついて手取り26万円程度でした。
その後4年程度働き、経験年数10年目で年収は550万程度でした。(残業はほぼなし)
ボーナスは年2回6月、12月支給でだいたい2回で4掛けぐらいでした。
毎年の人事委委員会勧告によって変動はしますが、基本給25万で、夏のボーナスの手取りが43万円、冬が47万円程度だったと思います。
なお、公務員看護師の初任給は手取りで15万円〜16万円であることが多いです。
初任給は他の職業と変わりませんが、勤続年数が上がれば上がるほど上がっていくので、そこまで気にしない人が多いです。
雇用の安定性・雇用保険への加入
公立・公的病院は経営主体が自治体や公益法人なので、雇用は安定しています。ただし、公務員は雇用保険に加入できないので、辞めた後に失業保険は受給できません。
公務員が失業保険を受給できないのは、景気変動リスクによるリストラなどの心配がないためです。
公務員が強制的に辞めさせられるとすれば、不祥事を起こして懲戒免職になるといった極端な事例に限られます。
福利厚生の充実度
公務員看護師は、他の自治体職員と同様、職員共済組合などの福利厚生を受けることができます。
ひところよりだいぶ質素になりましたが、レジャー施設の割引や保養所の利用など、公務員看護師の福利厚生は恵まれています。
一方、民間看護師が利用できる福利厚生は、所属する法人によります。
大規模な病院では、カフェテリアプランなどで持っているポイント分だけ優待を利用できるところもあれば、資格取得に補助を出しているところもあります。
しかし、小規模な病院では福利厚生はほとんどないこともあります。
夜勤や残業の制限
夜勤・残業の扱いは、公務員看護師と民間看護師でほとんど変わりません。
2019 年「病院看護実態調査」によると、月平均夜勤回数は3交代制で公立病院が7.9回、医療法人が7.7回、2交代制で公立病院が4.9回、医療法人が4.8回です。
病床規模による夜勤数の違いもほとんどなく、勤務先の違いで夜勤数に差はあまりでないようです。
残業規制も同様で、民間病院の看護師には労働基準法が適用されます。労基法対象外の公務員看護師でも、人事規則で同様の規定を設けているところが多いです。
- 年間残業時間は原則360時間まで。最長720時間まで。
- 月残業時間は原則45時間まで。
- 複数月の平均で80時間以下とし、単月でも100時間を超えないようにする。
ただし、公務員看護師の場合、自治体には「ただし、災害時は残業規制の適用を除外する」という規定を設けている場合がほとんどです。
新型コロナウイルスのような感染症の流行であったり、災害医療に従事する場合には残業規制が適用されず、公務員看護師の長時間残業は常態化します。
以前、民間病院に勤務していた時は、夜勤は準夜、深夜合わせて12回ぐらいでした。準深夜勤務1回で14000円の手当があり、1か月の夜勤手当が74000円程度でした。
それが公務員看護師になり、夜勤は8回になりました。
夜勤回数は準夜、深夜合わせて8回(準深夜勤務なら4回)と決められていたので、それ以上夜勤をしたことはなかったです。
体はしんどくなかったですが、夜勤手当は8回で12000円でした。
これには正直、驚きました(笑)。1回分の間違いかと思いましたが、違います。
準夜、深夜各4回ずつの月の夜勤手当です。単純計算で1回の準深夜勤務の夜勤手当は3000円程度です。これなら、夜勤やらないほうがマシですよね。
つらい夜勤を頑張ってするモチベーションは持てません。夜勤するメリットないですよね。
でも日勤のみという雇用形態では雇ってもらえないので、しないという選択はできません。
副業はできるのか
公務員看護師は副業が禁止されていることがほとんどです。
公務員看護師の待遇は、自治体ごとの就業規則に従います。公務員は「全体の奉仕者」であるため、「特定の誰か」のために働くことができないためです。
ただし近年では、国が副業を推進していることから、「公益に資する」と認められれば、副業を認めるケースもあります。
例えば、NPOに看護師の知見を生かしてアドバイザーとして助言する、などのケースです。
民間看護師が副業できるのかどうかは、就業先の勤務規定によります。副業したいのであれば、副業を認めている医療法人などに勤めると良いでしょう。
公務員看護師として働くメリット・デメリット
ここまで、公務員看護師とは何か、民間看護師との違いは何かについて解説してきました。
公務員看護師は民間看護師と給料や残業にほとんど差はないものの、救急や災害医療など公益的な役割を多く担い、やりがいのある仕事であることが分かりました。
では、公務員看護師になると具体的にどんなメリットとデメリットがあるのでしょうか?以下で解説します。
公務員看護師になるメリット①給与・待遇が安定している
先ほどの項目で、公務員看護師も民間看護師も給与や待遇に大きな差はないと説明しました。
とはいえ、リストラがなく、景気動向にあまり左右されないのが公務員看護師の大きなメリットです。
経営状況により大きく年収が跳ね上がることはない一方で、大きく下がることもありません。生活設計を立てやすいのが公務員看護師の大きなメリットです。
なんといっても「福利厚生が手厚い」のは、一番のメリットです。
育児休暇は3年利用可能ですし、夜勤回数の制限もしっかりと決められていました。
夜勤代はめちゃくちゃ安いですが、夜勤回数はきちんと決められていたので、身体的には楽でした。
毎年、基本給はしっかりと上がっていくので、長く勤めることで給与も増えていきます。
職場の人間関係が良好であれば、長く勤めようと思っている人には最適な職場だと思います。
公務員看護師になるメリット②休みはしっかり取れる
公務員看護師は所属する自治体の勤務規定に従います。近年の公務員は、労働時間が長く勤務環境が過酷と言われますが、休日はしっかり取れるようになっています。
公務員である以上、休日出勤をして代休が取れないなどの事態が生じれば批判の的になるのは間違いありません。
人事院や地方の人事委員会など、労働環境を第三者の目でチェックする仕組みも整っているので、休みが消化できないことはありません。
夜勤回数が8回と決められていたので、身体面では楽になりました。
民間病院で夜勤12回をこなしていたときは、日勤→深夜→深夜→準夜→準夜というパターンの勤務が続くので心身ともにしんどかったです。
公務員看護師になってからは、日勤→深夜というシフトもなく、深夜入りの前日は休みとなっていました。
身体的には楽ですが、患者さんの情報収集が大変などのデメリットもあるので一概にメリットとは言えないかもしれないですね。
公務員看護師になるメリット③多様な職場で社会貢献できる
勤務先の自治体や公益法人の規模次第では、病院間の異動に加えて現場から事務方などへの異動もあります。多様な職場で働けるのが、公務員看護師のメリットです。
また、民間ではなかなか維持できない救急や産科、希少疾患の診療科など公益性の高い医療に従事できるのもメリットの一つです。
もちろん、こうした診療科での勤務は過酷ですが、「人の命を救っている」という確かな実感とやりがいを感じられるでしょう。
公務員看護師になるデメリット①副業ができない
先ほども紹介しましたが、公務員は「全体の奉仕者」であり、業務には中立性・公平性が求められます。このため副業が禁止されています。
最近では副業を認める自治体も出てきていますが、それでも「実費程度の報酬なら可能」など厳しい制限を設けているところがほとんどです。
「転売ビジネスで設けたい」「専門分野を活かして医療ライターをやりたい」などの野心がある人は、公務員看護師にはならない方が無難です。
公務員看護師になるデメリット②失業保険が受給できない
これも先ほど述べましたが、公務員は雇用が保障されていて景気動向によるリストラがないため、雇用保険に加入できず、失業保険も受けられません。
このため、公務員看護師が「辞めたい」と思ったときは、転職先をあらかじめ決めておくなど入念な準備をしておかないと無収入の期間が生じることになります。
「人間関係がつらい」などの悩みを抱えると、すぐに辞めたくなりますが、公務員看護師の場合は勢いで辞めると後悔しかねないので注意が必要です。
公務員看護師になるデメリット③年功序列の昇任
民間企業では実力・能力主義が定着しつつありますが、公務員看護師の世界は相変わらず年功序列です。
長く勤めて少しずつ給料や待遇を上げたいマイペースな人なら良いですが、自分の実力を最大限発揮して正当な評価を得たいと考えている人には向いていません。
新人~5年目程度は夜勤手当が安い分、民間病院に勤める同じ経験年数の看護師と比べると、給与が低いかもしれません。
しかし、40歳過ぎると、民間病院に勤めている看護師と給与が逆転してきます。
公務員看護師は基本給が高いですが、夜勤手当は薄給です。
経験年数6年目で公務員看護師に転職した時に、給与は2万円程度低くなりました。
でも基本給は以前より高いのでボーナスは高かったです。年収としてはあまり大差はなかったと思います。
公務員看護師に向いている人の特徴
公務員看護師になるメリット・デメリットを紹介したところで、おぼろげながら「私は向いている」「私はならない方が良いかも」などと分かってきたのではないでしょうか。
ここからは、より具体的に「公務員看護師が向いている人の特徴」を解説します。
公務員看護師に向いている人の特徴①着実にコツコツ働く人
先ほども述べたように、公務員は災害時を除いて無理な働き方をさせられない代わりに、昇任・昇給はほとんど年功序列です。
年齢や勤続年数で評価が着実に上がるため、コツコツ働いて少しずつ立場と年収を上げたい人に向いています。
長期的な生活設計を立てて、「あと○年後までに○万円貯める」などの目標を持っている人に適しています。
逆に、すぐに結果を出して認めてもらいたい、という人は民間向きです。
公務員看護師に向いている人の特徴②社会貢献したい人
公務員看護師や準公務員看護師が勤める公立病院、公的病院は、救急科や希少疾患への対応など、「必要だけど過酷で採算が取りにくい業務」を担っています。
「人の命を守る」と使命感に燃えている人に、公務員看護師は向いています。
中には災害派遣医療チーム(DMAT)を組織している公立・公的病院もあり、災害が発生すれば全国各地へ緊急応援に向かいます。
プライベートが削られ、休日が不規則になりがちですが、社会的意義の大きい役割です。大きなやりがいも感じられるでしょう。
公務員看護師に向いている人の特徴③研究肌、医療政策に関わりたい人
公務員看護師が勤める公立病院・公的病院の中には、治験や先進医療、症例研究などに熱心なところもあります。
研究そのものはお金になりませんので、民間よりも大学病院などの方が腰を据えて研究できるわけです。
合わせて、公務員看護師であれば保健所や役所の事務方(技官)などへの人事異動もあり得ます。
看護師として患者のケアの在り方を研究したり、医療政策の立案に関わったりしたい方に公務員看護師はおすすめです。
業務内容は民間病院のときと変わりませんが、公務員であるという社会的立場が加わります。
社会の奉仕者として公共のために仕事をすることを求められます。
公務員の役割などを勉強する研修などがあり、そこは民間病院との違いですね。
通勤手当をきちんと使っているかなどのチェックも厳しかったです。
通勤手当で嘘の申請をしていたら、懲罰などもありましたし、悪質な場合は懲戒免職で新聞にのったりもします。
社会の模範として生活しなければいけないという厳しさはありましたが、普通に生活していたら大丈夫です。
公務員看護師になるには?
ここまで、公務員看護師と民間看護師の違いや、公務員看護師になるメリット・デメリットなどについて解説してきました。
ここまで読んできた人の中には、公務員看護師になりたいという思いを強くした人もいるのではないでしょうか?
採用は通常の公務員試験ではなく、専門職採用の試験を受けることになります。筆記試験の後に面接があります。
途中入職募集もありますが、その場合は、欠員を埋めるための非常勤職員ということも多いです。
ここからは、公務員看護師になる方法を解説します。
自治体や病院の公式HPで求人を見る
公務員看護師は自治体の職員なので、それぞれの自治体や病院の公式HPに採用情報を出しています。4月採用であることが多いです。
赤十字や厚生連などの公的病院も、公式HPに採用情報を出しています。
公式HPは最新の情報を確認できるメリットがありますが、自治体や病院ごとに分かれたHPをいちいち見なくてはならず、煩雑でフォローが大変です。
転職サイトで探す
看護師の転職に特化した転職サイトで求人検索する方法もあります。
これなら「公務員」や「公的病院」などのキーワードで検索すれば、一気に採用情報を集められます。
しかし、自治体が運営する病院は求人情報を転職サイトに載せていないケースがほとんどです。
公立病院は人気のため競争率が高く、転職サイトに掲載しなくても応募者が集まります。わざわざ掲載料金のかかる転職サイトに求人を掲載しなくてもいいわけです。
転職エージェントに紹介してもらう
公務員看護師の求人情報を調べるのに、公式HPでは作業が繁雑になります。しかし、転職サイトだけでは情報があまり得られない可能性があります。
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ここまで、公務員看護師と民間看護師の違いや、公務員看護師に向いている人の特徴、公務員看護師のなり方などを紹介してきました。
とはいえ、まだまだ気になることが残っている人も多いでしょう。
ここからは、公務員看護師を巡る主な疑問点について、経験者の立場からご回答します。
公務員看護師の試験は難しい?面接はあるの?
公務員看護師になるには、その自治体・病院が定めている試験に合格する必要があります。
試験の多くは
- 小論文
- 面接試験(適性検査)
小論文では、看護に対する自分の考えを述べさせる問題が多く出題されます。
ですが、専門的な問題ではなく、きちんと文章が書けるかというのを判断しているので、そこまでの対策は必要ないでしょう。
面接では、志望動機や自己PR、どういう形で貢献したいと考えているかなど、基本的なことが聞かれるので、準備はしておきましょう。
特に「なぜ民間ではなく、公務員の看護師になりたいのか」という理由は大切ですので、よく考えておきましょう。
また、転勤が可能かなども面接で聞かれると思います。
転勤はめったにないと思いますが、県立病院の場合は、県内の違う県立病院に転勤になる可能性も0ではないと考えたほうがいいと思います。
基本的に看護師が不足している状況なので、試験の難易度はそこまで高くありません。ですが、人気の職場ですので、面接対策は怠らないようにしましょう。
公務員看護師には年齢制限はある?
公務員看護師は一般の公務員試験を受けるわけではないので、年齢制限は通常、設けられていません。
自治体・病院の試験に合格すれば、晴れて公務員看護師として働くことができます。
ですが、年齢制限はないとしても、実際に現場で働くことができるのかという判断はされます。
年齢制限を設けていなくても、年齢が要因で落とされる可能性があることは、十分注意しましょう。
公務員看護師ならではのストレスとは?
公務員看護師には独特のストレスがあります。それは、準夜帰りや、深夜入りのタクシーが乗合だったことです。細かいことですが、私にはストレスでした。
準夜終わりに、病院のホールに集合して、家が近くのもの同士の組み合わせで、一緒に3~4名が同乗して帰っていました。(事前に同乗メンバーが決められていました)
深夜入りは、電車で病院の最寄駅まで行く(電車が0時すぎでも運行されていたので)。そこで同じ深夜入り看護師同士で同乗して病院まで行っていました。
民間病院時代は、一人一人にタクシーチケットが配布されていたので、最初は驚きました。
同乗なので、途中でコンビニ寄ったりもできない。
集合時間に間に合わせようと必死で仕事を終わらせないといけないことや、頑張って集合時間に間に合っても、平気で遅れてくる同乗者がいたり…。とてもストレスを感じました。
公務員看護師の退職金はいくら?
公務員看護師の退職金は、地方公務員法で「国家公務員の制度に準ずる」と定められています。
基本額
(退職日の月給 × 退職理由別・勤続年数別支給率)
+
調整額
(調整月額のうち、その額が多いものから60月分の額を合計した額)
総務省が公表している「地方公務員の退職手当制度について」によると、退職理由別・勤続年数別支給率は以下の通りです。
勤続年数 | 自己都合退職 | 定年・勧奨退職 | 整理退職 |
---|---|---|---|
1年 | 0.6 | 1.0 | 1.5 |
5年 | 3.0 | 5.0 | 7.5 |
10年 | 6.0 | 10.0 | 15.0 |
15年 | 12.4 | 19.375 | 23.25 |
20年 | 23.5 | 30.55 | 32.76 |
25年 | 33.5 | 41.34 | 41.34 |
30年 | 41.5 | 50.7 | 50.7 |
35年 | 47.5 | 59.28 | 59.28 |
45年 | 59.28 | 59.28 | 59.28 |
例えば、勤続年数25年、基本額が30万円で自己都合退職した場合、支給率は33.5なので
30万円×33.5=10,050,000円+調整額
となります。約1,005万円の退職金が受け取れることになります。
公務員看護師という働き方も検討してみよう
この記事では、公務員看護師について経験者の立場から徹底解説してきました。
公務員看護師は民間の看護師と違って、副業ができないなどのデメリットとなる点がある一方で、福利厚生が手厚いなど、メリットもたくさんありました。
時に勤務は過酷になりますが、通常なら民間病院より休日は取りやすく、収入は安定しています。
看護師の方で、年齢とともに着実にキャリアを積み重ねたい人、社会貢献したい人は、ぜひ「公務員看護師」を選択肢に入れてみてください。
公務員看護師は非常に人気です。求人が見つからないこともあるでしょう。
求人探しが大変な時は、上で紹介した転職エージェントを活用して、着実に転職を進めていくようにしてください。
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