私は助産師として12年勤務した後、一般病棟で5年経験しました。そして現在はクリニックで助産師として勤務している、少し変わった経歴の持ち主です。
看護師として勤務をしようと決めたとき、私の心は漠然とした不安に埋め尽くされました。産婦人科しか経験のない私が一般病棟でまともに働くことができるのだろうか、一般病棟になじむことができるだろうかと。
そこでインターネットで検索をしてみましたが、助産師から看護師として勤務したという体験談を見つけることができませんでした。そこで、私が助産師から看護師に転職した理由と、一般病棟で感じたことや学んだことをすべて紹介します!
目次
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助産師の私が、一般病棟に勤めたいと感じた理由
私は助産師学校卒業後、総合病院の産婦人科に配属され12年間助産師として勤務しました。常勤として勤務しながら2児をもうけ、出産後は日勤常勤として勤務していました。
2回目の育児休暇から復帰した時、病棟運営は大きく変化していました。分娩件数が大幅に減少したため、空床を埋めるために女性患者様ならどんな疾患でも受け入れるようになっていました。
時には認知症のおばあさんが誰もいないはずの分娩台に寝ていたりと、今まで接することがなかった患者様への対応に大変戸惑いました。
助産師としての経験しかないベテラン助産師の中には、他科の患者様の看護を経験年数が浅い助産師に押し付ける人もいました。その先輩の姿を見て「私はこんな先輩になりたくない。」と強く思い、いつか一般病棟で修業を積みたいと考えるようになりました。
夫の転勤。看護師としての転職活動
そんなとき、夫が転勤になり家族でついていくことになりました。インターネットで転勤先の助産師の求人を探しましたが、日勤のみで働ける助産師の求人は見当たりませんでした。
これはもう、看護師として一般病棟で勤務し、キャリアを積めとの神のお告げだと感じた私は、すぐに人材紹介会社に登録しました。日勤常勤・残業少なめ・ママさんナース活躍・託児所完備・福利厚生充実という約200床の病院を紹介してもいました。
紹介先の入職面接では、一般病棟の経験が無い私はあまり歓迎されていないように感じました。規模の小さい病院は即戦力になる人材を求めているからです。
看護部長から、「経験が無いのであれば、入院患者の入れ替わりが少ない療養病棟で」と言われましたが、それでは私の目標が達成できないと一般病棟での勤務を懇願し、消化器、呼吸器内科・整形外科、泌尿器科の混合病棟に配属されました。
勤務初日に受けた衝撃
- オムツ交換の臭いの強さとオムツの大きさ
- 男性患者様がいる
- 人間の体ってここまで拘縮するんだ
の3点でした。特にオムツ交換時の糞尿の臭いが想像以上でした。当たり前ですが、新生児のオムツ交換とは全く違いますし、下血している患者様のオムツの臭いも独特でした。
身体拘縮が強い患者様を見たときは、正直、恐怖を感じてしました。人間の体がここまで変形してしまうなんて・・・と。勤務初日は一般病棟に来たことをひたすら後悔してしまいました。
そして男性患者様に接する機会が全くなかったため、病室に入るたびに男性がいる!と驚いてしまいました。
こんな当たり前のこと、想像したらすぐにわかるでしょう!と思われるでしょうが、卒業後から産婦人科病棟のみで働いていると忘れてしまっていたのです。
患者様は女性だけではないことや、患者様が一人で歩いてトイレに行くということがどれだけ素晴らしいかということを!
産婦人科では見られない光景
その後も、産婦人科時代では経験できない出来事に驚いてばかりでした。
認知症を患っている方もたくさんいらっしゃいましたし、入院や手術がきっかけでせん妄状態となり、点滴や尿道カテーテルを自ら引き抜き、服も体も血まみれで徘徊する高齢者に廊下で遭遇することは日常茶飯事でした。
看護師に噛みついたり、便を壁に塗りつけたり、裸で歩いていたり。すべてが初めて見る光景に何度衝撃を受けたことでしょう。
半年間は慣れない業務と環境に、一般病棟に来たことを後悔した日も何度もありました。しかし素敵なスタッフに恵まれ、少しずつ業務も慣れていくことができました。
一般病棟で勤務をして身についたスキル
一般病棟で勤務したおかげで本当にたくさんのことを学ぶことができました。
客観的に情報収集する能力の向上
産婦人科では患者様ご本人が症状などを説明できる方が多いですが、特に高齢患者様だと意思疎通が困難である方も多いため、フィジカルアセスメントや検査データの読み取りなどの客観的データを収集する能力は格段に向上しました。
患者様の社会的背景の情報収集力の向上
老老介護、介護者による虐待や社会的孤立など、患者様だけでなく家族そのものが様々な問題を抱えているケースが山のようにありました。
これが日本の現状なんだと強い衝撃を受けました。それぞれの家族に合った指導方法の選択や退院先の選定など、患者・家族を多角的に評価し、いかに効果的に介入できるかを考える能力も得ることができました。
看護技術の向上
必要とする看護技術の量は圧倒的に違います。産婦人科ではあまり経験することがなかった呼吸器管理や褥瘡処置、胃瘻管理もできるようになりました。何よりも血管確保と採血の技術は上手くなったと思います。
一般病棟で働いて良かったこと
純粋に勉強になった
沢山の疾患の方と毎日関わることができ、知識量は本当に増えました。再び総合病院に就職したときも、他科も患者様とも苦手意識を持たずに接することができると思います。
また、様々な合併症がある方の妊娠・分娩・産褥管理にも、一般病棟で勤務した経験を活かすことができるでしょう。
産婦人科病棟よりも精神的に楽だった
これは病院の規模や、病棟の特殊性によって大きく違うため一概には言えないのですが、分娩介助時のように常に母子の命に気を配り、医療事故・クレーム・訴訟に怯えながら勤務しなくてもよくなり、精神的負担は大きく減りました。
働き方の選択肢が大幅に広がった
看護師の仕事は助産師よりもはるかに多くの働き方を選択することができます。日勤のみ・単発バイト・週3日だけ・午前のみなどです。
私が勤務していた病院はママさんナースが多い職場だったため、子供の病気で急に休むことになっても嫌味を言われることもなく、子供の看病に集中することができました。ライフスタイルに合わせて働き方や職場環境を変えることができるのは本当にありがたいことです。
看護師の経験は私にとって宝物
看護して勤務し始めてからの半年間は大変でしたが、一般病棟で経験したことは大きな宝です。
環境を変えることは本当にたくさんの不安がありますが、経験したことは必ず大きな自信となり、あなた自身に大きなメリットとして戻ってくると思います。怖がらずに新たな一歩を踏み出してください。
キャリアコンサルタント
この方のように、経験したことのない職種へ転職するためには、看護師専門転職エージェントの利用が必須です。あなたのスキルを客観的にアピールしてもらえるうえ、未経験でもスムーズに業務に入れる病院やクリニックを厳選して紹介してもらえます。
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