自営業の人の中には、「自分の年収が高いのか低いのか分からない」「そもそも年収の計算方法に自信がない」などの悩みを抱えている人もいるのではないでしょうか。
自営業の年収の考え方や計算方法はサラリーマンとは異なるため、年間の売上だけでなく経費や税金などを正確に把握する必要があります。
この記事では、気になる自営業の平均年収や年収分布から、年収の計算に必要な給料の決め方や経費の落とし方まで、自営業の年収に関するさまざまな情報をお伝えします。
目次
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自営業の年収・統計データまとめ
自営業の人の中には、自営業の平均年収はどの程度なのか、自分の年収は自営業の中でどれくらいの位置にいるのかなど、自営業の年収が気になる人が多いと思います。
まずは、自営業の平均年収の推移や年収分布など、自営業の年収にまつわるデータを紹介します。
自営業の平均年収推移
国税庁の申告所得税標本調査によると、自営業(事業所得者)の平均年収の推移は以下の通りです。
なお、ここでの年収は、1年間の総収入金額から経費を差し引いた額です。
年 | 平均年収 |
2018年 | 417万円 |
2017年 | 414万円 |
2016年 | 411万円 |
2015年 | 406万円 |
2014年 | 399万円 |
2013年 | 394万円 |
2012年 | 391万円 |
2011年 | 386万円 |
2010年 | 394万円 |
2009年 | 388万円 |
過去10年間では、自営業の平均年収は400万円前後で推移しています。2011年に一度下がったものの、それ以外の年はわずかながら上昇傾向にあります。
自営業の年収分布は?
国税庁の告所得税標本調査によると、自営業(事業所得者)の2018年の年収分布は以下の通りです。
年収 | 人数 | 割合 |
100万円以下 | 185,000人 | 11.0% |
100万円超200万円以下 | 442,000人 | 26.3% |
200万円超300万円以下 | 364,000人 | 21.6% |
300万円超500万円以下 | 374,000人 | 22.2% |
500万円超1,000万円以下 | 216,000人 | 12.8% |
1,000万円超2,000万円以下 | 65,000人 | 3.9% |
2,000万円以上 | 38,000人 | 2.2% |
自営業の年収分布で最も多いのは、100万円超200万円以下の階級で、自営業全体の4分の1以上を占めています。
年収が300万円以下の人が全体の半分以上にもかかわらず平均年収が417万円なのは、年収600万円や800万円などの高年収の人が平均を押し上げているからです。
自営業は年収の幅が広く、副業として細々と行う人もいれば、年間1000万円以上の利益を得る人もいるので、年収分布と平均年収に差が生まれるのだと推測されます。
自営業の年収が高い業種ランキング
国税庁の統計年報によると、2018年の年収が高い自営業の業種ランキングは以下の通りです。
順位 | 業種 | 平均年収 |
1位 | 病院、診療所 | 2,353万円 |
2位 | 弁護士 | 1,004万円 |
3位 | 歯科医 | 967万円 |
4位 | 税理士、公認会計士 | 867万円 |
5位 | 職業選手、競技関係者、職業棋士 | 661万円 |
6位 | 獣医 | 531万円 |
7位 | その他の法務専門サービス | 456万円 |
8位 | 水運業 | 363万円 |
9位 | 司法書士、行政書士 | 359万円 |
10位 | 鉱業 | 352万円 |
上位を占めるのは、医師や弁護士など、高い専門知識・資格が必要となる業種です。これらの業種は仕事の単価が高く、必然的に年収も高くなります。
これらの高い専門性や特定の資格が必要な業種に加え、「職業選手、競技関係者、職業棋士」など個人の才能を生かした業種も年収ランキングに入っています。
水運業や鉱業などの少々マイナーな業種がランクインする一方、飲食業は平均110万円、小売業は平均134万円と、メジャーな業種は平均年収が低い傾向にあります。
自営業の年収の計算方法を詳しく!給料の決め方・経費・税金を解説
自営業の年収は、単に売上だけを見れば良いわけではなく、経費や税金などを正確に把握したうえで計算する必要があります。
ここでは、自営業の年収を計算するために必要な経費や税金の計算方法や、給料の決め方を紹介します。
自営業の給料の決め方は?
自営業の場合、給料を誰かから貰うことや自分自身に給料を払うことができないため、事業収入が自分の給料にあたります。
しかし、事業で得た収入が全て自由に使えるわけではなく、売上から経費を除いた利益が給料となる点は会社員の給料と異なります。
さらに、サラリーマンの給料は税金などが天引きされるのに対し、自営業では収入から税金や国民健康保険料、国民年金などの支払いをしなければなりません。
自営業の給料に正解となる金額はないものの、給料を決める際には、事業収入と経費、税金のバランスを考慮したうえで決定する必要があります。
事業用の口座をプライベート用の口座と分ける、収支の記録はこまめにつけるなど、収入と支出を適切に把握することが、帳簿を付ける際だけでなく給料を決める際にも重要です。
収入を生活費に充てる場合には、「事業主貸」という勘定科目で計上します。事業のお金を事業主に貸したという名目ですが、貸す人と借りる人が同じなので返済の必要はありません。
自営業が落とせる経費の種類は?
自営業の税金は収入から経費を引いた額で決まるので、なるべく経費で落とした方が節税になります。ただし、経費は事業にかかる費用であり、何でも経費に計上できるわけではありません。
国税庁によれば、経費として落とせるのは「収入金額を得るために直接要した費用」と「販売費、一般管理費その他業務上の費用」です。
具体的に経費として落とせるのは、以下の費用です。
- 仕入れた商品の原価
- 事業で使用する消耗品
- 外注費
- 減価償却費
- 個人事業税、消費税
- 従業員の給料
- 事業と関係のある飲食費や慶弔費
自宅を事務所として使用している場合や、自動車を事業に使っている場合は、以下の費用も経費で落とせます。
- 家賃や水道光熱費、通信料
- 自動車の購入費用
- 固定資産税・自動車税
家賃などのプライベートと業務を兼ねる費用は、面積の割合や使用率などから事業使用分と家事使用分を按分して経費に計上する必要があります。
一方、以下のような種類の費用は経費で落とすことができません。
- 事業主本人のために支払う費用(給料、国民年金・国民健康保険料など)
- 生計を一にする家族・親族への支払い(青色事業専従者給与の届出を出している場合、条件を満たせば経費として落とすことも可能)
- 10万円以上の備品の購入費(資産として扱うため。20万円未満のものは均等償却を、20万円以上のものは減価償却を行い、数年かけて経費に計上する)
- 借入金の元金
- その他、業務で使用しない費用や業務とは関係のない費用
自営業の税金の計算方法は?
自営業で事業所得を得ている人は、固定資産税など事業に係る税金である租税公課のほか、所得税・住民税・国民健康保険料・国民年金保険料などを納める必要があります。
所得税や住民税は、1年間の収入額に応じて決定されます。事業とは別に個人として納める費用なので、経費として計上できない点に注意が必要です。
所得税は、1月1日から12月31日までの1年間で得た所得に応じて課税されます。所得は、収入から経費を差し引いた額です。
この所得からさらに所得控除を差し引いた「課税所得」に、所得金額に応じた税率をかけたものが所得税の納税額です。住宅ローン控除などの税額控除がある場合はさらに減額できます。
住民税は、居住している自治体に納める税金です。住民税の納税額は、所得に関わらず一定金額の均等割と、所得に応じて変わる所得割の合算で求められます。
国民健康保険料も、住民税と同様に均等割と所得割の合算が保険料になります。国民年金保険料は所得に関係なく全国一律です。
自営業の手取りは利益そのものではなく、収入から経費を差し引き、さらにこれらの税金や保険料を差し引いた額であるという点に注意が必要です。
自営業は個人事業主と法人どちらで営むのがお得?
税制上、個人事業主と法人どちらで自営業を営むのが得なのかは、所得がどの程度あるかによって異なります。
個人事業主の所得税の場合、課税所得が年間4,000万円を超えると45%という高い税率がかかりますが、195万円以下なら5%と、所得が少ない方が税額が少なくて済みます。
一方、法人税は所得税より累進性が低く、個人事業主が経費にできない費用も法人であれば経費として計上できるなど、法人は個人事業主より税制上優遇されている項目が多いです。
とはいえ、法人化には時間やお金がかかるうえに、赤字の場合、個人事業主なら所得税や住民税を負担する必要がないのに対し、法人は法人住民税を納めなければなりません。
所得が少ないうちは個人事業主、多くなってきたら法人で営むのが、税制上はお得です。一般的には、個人事業の利益が800万円を超えたら法人化するといいと言われています。
自営業vsサラリーマン、年収が高いのはどちら?
国税庁の調査によると、2018年の自営業の平均年収が417万円なのに対し、同年のサラリーマンの平均給与は441万円と、わずかにサラリーマンの方が年収が高くなっています。
ただし、自営業はこの年収から税金や保険料などを支払わなければならず、会社が保険料の一部を負担してくれるサラリーマンと比べると、手取りの額は少なくなります。
特に、年収1,000万円のサラリーマンと年商1,000万円の自営業主では、経費を支払う必要がある分、自営業主の手取りはサラリーマンよりずっと少なくなります。
一見すると年収が同じに見えても、税金や保険料を納める必要がある点や、所得控除が少ない点などから、自営業主の手取りは少なくなってしまうのが現状です。
自営業で高年収を狙うのは難しい?
自営業の中でも高年収が狙えるのは、医師や弁護士、税理士などの専門性が高く資格が必要な職業です。
しかし、そのような専門性の高い職業であっても、自営業では良い時と悪い時の波が激しいことが多く、収入が安定しないことも少なくありません。
さらに、傷病休暇などの制度があるサラリーマンに対し、自営業では病気などで仕事を休んだ場合に収入の保障がなく、休んだ分だけ年収が減ってしまいます。
受け取れる国民年金の額はサラリーマンの厚生年金より少なく、退職金も出ません。生涯賃金で考えた場合、同年代のサラリーマン以上に稼がなくてはなりません。
自営業で高年収を狙うのであれば、アイデアや工夫、強い熱意をもって事業に取り組み成功させる必要があるため、自営業で確実に高年収を達成するのはかなり難しいでしょう。
年収に不満や疑問があったらするべきこと
年収に対して不満や疑問がある自営業主におすすめなのが、転職エージェントを利用して転職のプロに相談することです。
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キャリアや年収のことを相談できる人が周囲に少ない自営業こそ、転職エージェントに登録して転職のプロにキャリア相談をすることをおすすめします。
今すぐに会社員に転職するつもりがなくても、年収に対する不満や疑問を相談するだけでも利用できるので、まずは転職エージェントに登録してみるのがおすすめです。
年収に不満や疑問がある自営業主に特におすすめの転職エージェントを、利用者の口コミとともに紹介します。
パソナキャリア

パソナキャリアは、派遣業大手のパソナグループが運営する転職エージェントです。2020年11月現在、28,037件の公開求人を保有しています。
パソナキャリアの魅力は、オリコン顧客満足度調査の転職エージェント部門で1位を受賞するほど満足度の高いサポートです。転職後に年収アップした人は、67.1%もいます。
キャリアに自信がない人にも親身に相談に乗ってくれるので、会社勤めをしたことがない自営業主にもおすすめです。
実際にパソナキャリアを利用した人からは、親身なサポートを評価する声が多く聞かれました。

リクルートエージェント

リクルートエージェントは、リクルートグループが運営する国内最大手の転職エージェントです。2020年11月現在、公開求人を105,860件、非公開求人を118,960件保有しています。
リクルートエージェントの魅力は、豊富な求人数と質の高いサポートです。転職後に年収アップした人の割合は、62.7%と高い水準です。
転職成功ガイドでは自営業の履歴書の書き方を説明するなど、自営業へのサポートも充実しているので、年収に関する悩みを相談したい自営業主にもおすすめです。
実際にリクルートエージェントを利用した人からは、豊富な求人数と質の高いサポートを評価する声が多く聞かれました。

ランスタッド

ランスタッドは、外資系企業のランスタッドグループが運営する転職エージェントです。2020年11月現在、公開求人を8,242件保有しています。
ランスタッドの魅力は、外資系企業の求人やハイランク向けの求人に強い点です。年収1,000万円以上の求人も2,700件以上あるなど、高年収の求人が多いのも特徴です。
サポートが手厚く、質の高い担当者が相談に乗ってくれるので、年収に関する悩みがある自営業主にもおすすめです。
実際にランスタッドを利用した人からは、手厚いサポートを評価する声が多く聞かれました。

自営業の年収まとめ
自営業の魅力の1つは、会社勤めとは異なり年収に上限がなく、自分の努力次第で年収1,000万円などの高年収を得られる可能性がある点です。
一方で、自営業は景気の影響などを受けやすいため、安定して高年収を得るには本人の努力だけではどうしようもできない場合があります。
事業が立ち行かなくなれば廃業の可能性もあり、退職金も出ないなど、サラリーマンと比較すると年収だけでなく生涯賃金も不透明なのが自営業のデメリットです。
年収に不安がある場合には、転職エージェントに登録して、転職活動のプロに相談することをおすすめします。
年収のことを相談できる相手が身近にいない自営業主こそ、転職エージェントを利用して相談相手を作ることで、年収に対する不安や悩みを解消できます。
自営業主こそ転職エージェントを上手に活用して、年収への不安や悩みを払拭してください。