助教は、教授、准教授、講師に次ぐ職階の大学教員です。大学教員として最初のキャリアとなり、学生の授業を受け持ったり、研究に従事したりしています。
大学の教員、特に教授は一般的に高年収のイメージを持たれることが多く、下の職階とはいえ助教も高年収のイメージがあります。
実際には、助教の給料は安いとの不満の声も耳にします。では、助教の年収は一般的にいくらなのでしょうか?
今回は助教の年収事情について、年齢・国立/私立・大学別に徹底調査します。
目次
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助教の年収は?年齢・国立/私立・大学別まとめ
大学教員の中では4番目の職階に位置し、若手が就くことの多い助教の年収はどれくらいでしょうか?
高年収のイメージも多い助教の年収事情について、年齢・国立/私立・大学別のカテゴリーごとにまとめました。
そもそも助教とは?助教になる年齢の目安は?
そもそも助教とは、2007年の学校教育法改正によって新設された比較的新しい職階です。
以前は「教授・助教授・講師・助手」と分かれていた職階が、法改正で「教授・准教授・講師・助教・助手」に変更されました。
旧来の助手が教授・助教授の補助を担っていたのに対し、学生の授業担当や自身の研究を行うものが助教、教育研究の補助を行うものが助手と分かれました。
ただし、実際に学生の講義を受け持つことは少なく、研究に従事することが大半のようです。
助教になるには、博士号を習得したのち、助教の公募に応募して採用されるのが一般的な流れです。そのため、助教になる年齢は早くても27歳~28歳頃です。
助教の平均年収
助教はどれくらいの年収を得ているか、まずは平均年収を調査します。
下の表は、文部科学省「学校教員統計調査」の平均給与月額よりまとめた、大学教員の平均年収です。賞与は大学教員のブログで公開されている事例から年間4.5ヶ月分で算出しました。
年度 | 平均給与月額 | 平均年収 |
平成28年度 | 348,900円 | 576万円 |
平成25年度 | 336,200円 | 555万円 |
平成22年度 | 326,700円 | 539万円 |
平成19年度 | 316,800円 | 523万円 |
上記の統計調査は3年ごとに行われ、助教の平均年収は9年間で50万円以上も上がっています。
直近の平成28年度の平均年収は576万円と、年収600万円にはわずかに届かないものの、高年収のカテゴリーに分類されます。
国税庁「令和元年分民間給与実態統計調査」によると、民間企業全体の平均年収は436万円です。助教の平均年収は、民間企業全体平均より140万円も高い水準にあります。
助教の年収・国立/私立別
次に、助教の年収を国立・私立別に調査します。
平均年収の調査で参照した文部科学省の「平成28年度学校教員統計調査」より、国立大学/私立大学別の助教の平均年収をまとめました。(賞与は年間4.5ヶ月分で算出)
区分 | 平均月額給与 | 平均年収 |
国立大学 | 372,100円 | 614万円 |
公立大学 | 363,300円 | 599万円 |
私立大学 | 323,900円 | 534万円 |
参考までに、公立大学の助教の平均年収も記載しています。国立大学の場合、助教の平均年収は614万円で、公立大学の助教の平均年収も599万円と高い水準を誇っています。
私立大学では助教の平均年収は534万円で、国立大学より80万円、公立大学より65万円低い年収です。
国立大学や公立大学より年収水準は低いものの、私立大学の助教の平均年収は、民間企業全体平均より約100万円も高い水準にあります。
助教の年収・大学別
次に、助教の年収を大学別に調査します。
下記は、文部科学省による「独立行政法人、国立大学法人等及び特殊法人の役員の報酬等及び職員の給与の水準」の平成30年度データより抜粋した助教の平均年収です。
大学名 | 平均年収 |
北海道大学 | 690万円 |
東北大学 | 667万円 |
東京大学 | 726万円 |
名古屋大学 | 738万円 |
京都大学 | 683万円 |
大阪大学 | 717万円 |
九州大学 | 703万円 |
一部の代表的な国立大学を抜粋しましたが、上記の中で一番年収が高いのは名古屋大です。
いずれの大学も、国立大学の助教の平均年収614万円を上回っています。特に東大、名古屋大、大阪大は100万円以上も高い年収水準を誇っています。
続いて、私立大学の状況を口コミサイトの年収事例から紹介します。
大学名 | 年収事例 |
慶應義塾大学 | 600万円(30歳男性) |
東京理科大学 | 540万円(30代男性) |
青山学院大学 | 580万円(30代男性) |
立教大学 | 530万円(30代男性) |
私立大では、助教は30代前半に500万円台に達するケースが多く、大学ごとに大きな差はありません。中でも慶應義塾大学は30歳で600万円と、他の私立大学より高い年収水準です。
助教の年収・医師の場合
ここまで一般の大学教員の年収事例を紹介してきましたが、大学病院で働く医師の場合、助教の立場では年収はどれくらいでしょうか?いくつかのケースを検証します。
下記は、文部科学省の「独立行政法人、国立大学法人等及び特殊法人の役員の報酬等及び職員の給与の水準」から抜粋した、医科系大学助教の平均年収です。
大学名 | 平均年収 |
旭川医科大学 | 654万円 |
東京医科歯科大学 | 740万円 |
浜松医科大学 | 668万円 |
滋賀医科大学 | 722万円 |
各大学には附属病院があり、大学に籍を置く医師は附属病院の医局で勤務しています。大学によって平均年収に差があることが分かります。
中でも東京医科歯科大学などは、旧帝大7大学の助教を上回る平均年収を誇ります。
とはいえ、大学病院の医師といえども、他大学の助教と比べて飛び抜けて年収が高いことはなく、あまり平均年収に差はありません。
助教の年収を他のポジションと比較
助教の年収状況について、他のポジションと比較してみます。
下記は文部科学省「平成28年度学校教員統計調査」の平均給与月額よりまとめた、大学教員の平均年収一覧です。
職階 | 平均給与月額 | 平均年収 |
教授 | 559,000円 | 922万円 |
准教授 | 459,000円 | 757万円 |
講師 | 400,000円 | 660万円 |
助教 | 349,000円 | 576万円 |
助手 | 287,000円 | 473万円 |
教授ともなると平均年収は非常に高く、1000万円近い水準に達しています。助教の平均年収とは346万円もの差があります。
助教の平均年収は、准教授とは約200万円、講師とは約80万円の差があり、ポジションが一つ上がるごとに、平均年収は100万円前後上がります。
助教や助手には、博士号を取得してから公募で採用されますが、助教や助手になるまでは博士研究者(ポスドク)として研究を続けるのが一般的です。
参考までにポスドクの平均年収は、日本学術振興会での募集要項によると、434万円です。
助教の給料は安い?実際に働く人の声を調査
助教の平均年収は、民間企業全体の平均年収よりも高いものの、勤務内容や研究成果に対して正当な評価ではなく、給料が安いとの声も聞こえてきます。
実際に助教として働く人は、自分の年収を安いと感じているのでしょうか?助教として働いている人の声を、Twitterで調査しました。
化学の専門家を助教バイトを、年収3~400万円の研究費20万円/年で迎えられると思うくらい日本の人件費が底になっちまったんだな。
こんなんで国際競争力はないだろう。むしろ日本人が”買い”になってるのが分からんものかね。
愛国心では家族を養えないんだよ。
— 木下建一郎 (@kinoken16) September 29, 2020
土日祝日も研究するポスドクが私の半分以下の年収
助教になっても私と大差ない年収
そこで毎年2~3件論文を出す勢いで研究して全国の天才たちに打ち勝って准教授になれてようやく任期なしの常任私より遥かに優秀な人が身命をとしてこれなんだからアカデミックなんて覚悟完了してないと無理だぞ
— Khem (@Khem_dividend) November 2, 2020
シンガポールの例では、生命科学系の30代助教で年収一千万超え。教授なら倍。
もっとも、日本の助教は多くの場合は名ばかりで独立しておらず、雑用の多いポスドク的扱い。これはこれでまた日本のサイエンスを停滞させている原因と私は思っています。 https://t.co/largDWLc8y— 北島遊正 (@kj26csi) February 4, 2018
Twitterでよくつぶやかれているのは、日本における研究者への評価は総じて低いとの声です。十分な給料を用意できず、優秀な研究者が海外に流出する事例も指摘されています。
私学の事務職員の年収は国立の特任助教の年収の2倍なのか・・・
— そらみち (@mizonokuchi) November 16, 2017
他にも、私大の事務職員との給与格差を嘆くつぶやきも見られます。
助教の平均年収、700万前後はまぁ納得だけど、これ、退職金込みだからね?みんな誤解してないよね?僕退職しても退職金0ですからね?
— 大上雅史|Ohue M (@tonets) November 6, 2016
助教の多くは、3年~5年の任期制です。民間企業の平均年収より高い給料を貰っていても、任期制では不安定な生活を強いられます。
ちなみに大学助教になるには?
ここまで様々な角度から、助教の年収事情を調査してきました。では、そもそも大学の助教になるには、どうすれば良いのでしょうか?
先に紹介したように、大学の教員は上から順に下記のポジションに分かれます。
- 教授
- 准教授
- 講師
- 助教
- 助手
実際は助教が助手の代わりを務めるケースが多く、助手の数は少なくなっています。そのため、助教から大学教員としてスタートするケースが大半です。
大学助教になるには、まず大学卒業後に大学院に進学し、修士号だけでなく博士号まで取得することが必須です。
博士号取得後は、助教のポストが空くまで、ポスドクとして研究実績を積み重ねます。
助教への道は、公募に応募するケースと、教授から推薦されるケースがありますが、公募に応募するケースが一般的です。
公募への応募の際も、教授からの推薦状があるかどうかで、採用に大きな影響があります。
助教よりも高年収を得る方法
助教の平均年収は、民間企業全体の平均年収より140万円も高い水準にあるものの、トップレベルの研究を続ける研究者への報酬と考えると安いとの声も多く聞かれます。
では、助教よりも高年収を得る方法はあるのでしょうか?ここからは、より高年収を得る方法を紹介します。
まずは自分の適正年収を確認する
今よりも高年収を目指すにあたり、最初の一歩として、自分の適正な年収はいくらかを確認する必要があります。
自分の適正年収を確認するためのツールの一つに、転職支援アプリの「MIIDAS」があります。
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昇進を目指す?
今の助教のポジションよりも高年収を得る方法の一つに、昇進を目指す選択肢があります。講師や准教授、教授へとステップアップしていく選択肢です。
実際、教授になると平均年収は1000万円近くまで上がります。では、実際に昇進を目指すことは現実的な選択肢なのでしょうか?
結論から言えば、昇進を目指す選択肢は、あまりおすすめできません。講師から、准教授、教授へとポジションが上がるにつれ、より狭き門となっていきます。
ポストが空かない限り昇進できるチャンスはなく、教授まで上がるには長い年月を要します。
助教になったからそのまま講師や准教授、教授にステップアップできる保証はなく、助教のまま大学教員のキャリアを終える人も数多く存在します。
今すぐ助教よりも高年収を目指すのであれば、別の方法をおすすめします。
独立する?
助教よりも高年収を上げる別の方法に、自分で研究室を主宰する研究主宰者になる方法があります。
2007年の学校教育法改正にあたり、日本の大学でも、若手研究者の独立を支援するテニュアトラック制度が導入され始めました。
これは、独立した研究環境と研究資金が与えられるテニュアトラック助教に採用されたのち、任期内に一定の研究成果を上げることで、准教授など終身雇用のポストが得られる制度です。
任期内に一定の研究成果を上げ、独自に研究費用を取ってこれるようになれば、テニュア審査にも合格し、ポストを勝ちとくことは可能です。
とはいえ、テニュアトラック助教の公募は狭き門のため、高倍率になりがちです。
大学によっては40倍の倍率が付くこともあり、テニュアトラック助教を目指すのは確実性が高いとは言えません。
転職する?
助教よりも高年収を得るには昇進を目指す方法などがありますが、いずれも確実とは言えず、おすすめはできません。
より確実に高年収を得るのであれば、転職が一番の近道です。助教が転職する選択肢には、主に下記の2つがあります。
- 他大学へ講師以上のポジションに転職する
- 民間企業へ転職する
大学教員のキャリアを続けていくのであれば、他大学への転職も考える必要があります。その場合、少数のポストに応募が集中するため、転職の難易度は高めです。
もう一つの選択肢である民間企業への転職はどうでしょうか?近年は助教やポスドクの段階で民間企業へ転職する研究者が増えています。
特に助教は大学教員のため、助教のキャリアはより高く評価される傾向があります。
転職して年収を上げる方法
助教より高年収を得る方法として、転職が最もおすすめと紹介しました。とはいえ、日々の研究活動に時間を取られる中で、転職活動に時間を割くのは骨が折れます。
効率よく転職活動をするにはまず、転職エージェントに相談することをおすすめします。
転職エージェントは、転職支援のプロフェッショナルです。転職エージェントに相談することで、様々なメリットを得られます。
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- 本人に代わって、求人応募や面接日時の調整をしてくれる
- 年収が上がるよう、勤務条件の交渉をしてくれる
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パソナキャリア
1社に紹介するのはパソナキャリアです。大手人材派遣会社の株式会社パソナが運営する転職エージェントで、国内最大級の転職エージェントの一つです。
パソナキャリアが持つ特徴は下記の2点です。
- キャリアアドバイザーの確かな提案力と、きめ細かなサポート力
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パソナキャリアはカウンセリングを重視しており、丁寧なキャリアカウンセリングに基づき、的確なサポートを実現させています。
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助教向けの研究職や開発職の公開求人は、2021年3月時点で1,600件以上と豊富です。非公開求人も多いので、是非登録をおすすめします。
パソナキャリアの公式サイトリクルートエージェント
2社目に紹介するのはリクルートエージェントです。転職支援実績で業界トップを誇る転職エージェントです。
リクルートエージェントの特徴は、下記の2点が挙げられます。
- 圧倒的な求人数・取引企業数と、求人の質の高さ
- 専門職にも強い、求人バリエーションの豊富さ
リクルートエージェントが抱える求人数は転職エージェント業界トップを誇り、総求人数は25万件を超え、このうち非公開求人だけで14万件以上にも上ります。
リクルートエージェントの強みは、求人数だけでなく、質の高さにもあります。利用者からは常に高い評価を受けており、転職支援実績はNo.1を誇ります。
専門領域の求人にも強みを持ち、エンジニア系の求人やハイクラス・高年収求人の転職支援サービスにも長けています。
助教向けの求人も、研究・開発職から各種エンジニア、コンサルタントなど、幅広い業種・職種を取り扱っています。高年収の非公開求人も期待できるので是非おすすめします。
リクルートエージェントの公式サイトランスタッド
3社目に紹介するのはランスタッドです。外資系転職エージェント大手で、日本国内に92の拠点を構えています。
ランスタッドの特徴は下記の2点です。
- 若手からハイクラスまで、年代に応じたバリエーション豊かな求人
- 業界専任のコンサルタントによる、手厚い転職サポート
ランスタッドは各年代やポジションに応じた提案を得意とし、若手向けやミドル・ハイクラス向けなど、ニーズに応じた求人が豊富に揃っています。
外資系企業の強みを活かしてグローバル求人も数多く保有しており、国際的に活躍したい研究者には、ランスタッドはおすすめです。
業界専任のコンサルタントによるキャリアカウンセリングにも定評があり、丁寧できめ細かなサポートは、利用者からも高い評価を受けています。
ランスタッドは、ライフサイエンスやITエンジニア分野など、助教が高年収で転職できる求人を多数用意しています。まずはコンサルタントに相談してみてください。
ランスタッドの公式サイト助教の年収まとめ
博士号を取得した研究者として、大学教員の一員として第一線に身を置く助教は、必ずしも十分な年収を得ているとは言えません。
民間企業全体の平均年収より高い水準にあるものの、助教の多くは任期制であり、研究継続と雇用への不安は常に付きまといます。
大学教員である助教のキャリアを活かして、今よりも安定した高年収を得るのであれば、是非転職を検討してください。
ただし、転職は年収ダウンのリスクも背負います。本記事で紹介したように、転職活動に臨む際は転職支援のプロである転職エージェントに相談することをおすすめします。
特に本記事で紹介した転職エージェント3社は、転職支援実績、利用者からの評価ともに豊富な、業界でも抜きんでた優良転職エージェントです。
今より高年収を得るためにも、本記事の情報を参考にして、是非有意義な転職活動を過ごしてください。