「国家資格を取って、社会に貢献する仕事がしたい」「将来は独立して高収入を得たい」などの動機で、「土地家屋調査士」の仕事を検討したことはありますか?
土地家屋調査士は独立すれば、年収1000万円も可能と言われています。とはいえ、本当に高収入を得られるの?独立しても大丈夫なのか?気になるところです。
この記事では、土地家屋調査士の年収に焦点を当てて解説していきます。
目次
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土地家屋調査士の平均年収は?年齢・自営などケース別にまとめ
実際に、土地家屋調査士の年収はどのくらいなのでしょうか。
ここでは、
- 平均年収と平均年齢
- 年齢別の年収
- 独立、雇われの年収
- 廃業について
- 企業規模別の年収
- 地域別の年収
- 初任給と補助者の給料
の順に、土地家屋調査士の年収について解説します。
土地家屋調査士の平均年収・平均年齢
【平均年収】
区分 | 平均年収 |
土地家屋調査士 | 486.8万円 |
民間企業 | 441万円 |
土地家屋調査士の平均年収はリクルート(リクナビNEXT)の調査、民間企業の平均年収は国税庁の平成30年度「民間給与実態統計調査結果」のデータを引用しています。
これによると、土地家屋調査士の年収は486.8万円で、民間企業の平均年収と比べると45.8万円、月収換算では3.8万円高くなっています。
土地家屋調査士は「年収1,000万円を目指せる」との情報は嘘だったの?と思ってしまう内容です。この平均値の中には年収1,000万円以上の人も含まれています。
一般的な年収として、「400万円~500万円」ぐらいと考えておきましょう。
【平均年齢】
区分 | 平均年齢 |
土地家屋調査士の合格者 | 40.2歳 |
現役の土地家屋調査士 | 44.1歳 |
土地家屋調査士試験の合格者平均年齢は「日本土地家屋調査士会連合会」の調査(平成29年度)、土地家屋調査士の平均年齢は口コミ情報サイトを元にしています。
資格合格者・現役の土地家屋調査士ともに平均年齢は40代です。
土地家屋調査士は、ある程度の社会人経験を積んだ人が試験を受けていることが分かります。
土地家屋調査士の年収【年齢別】
土地家屋調査士の年齢別年収を下記にまとめました。
【土地家屋調査士:年齢別の年収】
年齢 | 年収 |
20代 | 350~530万円 |
30代 | 550~660万円 |
40代 | 700~800万円 |
50代 | 800~900万円 |
60代 | 600~650万円 |
土地家屋調査士の年収のピークは50代です。この年代は、役職に付いたり独立開業している場合があるので、一般的な平均年収より高めです。
年齢と経験を重ねると年収がアップしていくのは一般企業と同じですが、20代から40にかけて一気に年収が上がることも分かります。
60代に年収が下がるのは、退職後再雇用だったり、独立して自分のペースで働いているなどのケースが多いためと考えられます。
土地家屋調査士の年収【独立・雇われ】
土地家屋調査士の方は、独立すれば年収1,000万円稼げるのか、組織に所属する場合の年収はいくらか気になるでしょう。
ここでは、それぞれの年収の特徴を解説します。
【独立した場合】
年収は「800万円~1,000万円程度」稼げる可能性があります。受注すればそれだけ年収が上がるので、実力と営業努力に左右されます。
1件あたりの報酬金額は、受注した業務内容で異なります。測量の仕事であれば1件20万円~100万円です。
国家資格を持ち、法律の知識や専門技術を駆使して仕事をするため、1件あたりの報酬も高くなるのです。
【雇われている場合】
正社員として雇われている場合、企業規模にもよりますが、資格手当が付いて年収400万円~600万円が一般的な水準です。
初任給は低いですが、経験と実績を積んでいけば、年収を上げることは可能です。
土地家屋調査士は廃業も多い?
【土地家屋調査士会員の登録者数と取消者数の推移】
年度 | 登録者数 | 取消者数 (廃業・死亡等) |
平成25年度 | 366人 | 514人 |
平成26年度 | 376人 | 501人 |
平成27年度 | 418人 | 513人 |
平成28年度 | 383人 | 551人 |
土地家屋調査士会員は、登録者は横ばいで、取消者(廃業)は増加傾向にあります。
冒頭で紹介したとおり、土地家屋調査士は平均年齢が高く、独立開業もできるので高齢でも活躍できる仕事です。廃業が多いのは、高齢化の進展によるものとみられます。
土地家屋調査士全体の人数は16761人で、ピーク時より2000人ほど減少しています。
今後、相続などで土地の境界線策定や分筆の引き合いが増えるとみられ、土地家屋調査士の仕事は増える可能性があります。
土地家屋調査士の年収【中小・大手別】
【土地家屋調査士:中小・大手別の年収比較】
企業規模 | 平均年収 |
中規模企業 | 720万円 |
大企業 | 870万円 |
中規模企業と大手企業の年収を比較すると、平均年収に150万円の差があります。
大企業は大規模な公共工事を手掛けることがあり、プロジェクト全体を管理する建設コンサルタントの立場で働く機会があります。
このため、年収を1,000万円付近まで伸ばすことができるのです。高収入を目指した転職をお考えであれば、大手企業がおすすめです。
土地家屋調査士の年収【地域別】
ここでは、地域別の平均年収についてまとめています。
今回は、関東の主要都市と大阪、福岡の地域別で検証しました。
【地域別の平均年収】
地域別 | 平均年収 |
東京都 | 434万円 |
千葉県 | 420万円 |
神奈川県 | 404万円 |
大阪府 | 386万円 |
福岡県 | 348万円 |
地域別年収が最も高いのは、東京都の434万円です。千葉県・神奈川県は、ともに400万円を超えています。
最も低かったのは福岡県で、東京とは90万円近い差があります。住宅数や企業数の多い地域は比例して仕事も豊富となり、給料も高いと考えられます。
土地家屋調査士の年収の特徴|昇給しやすさや初任給は?
【土地家屋調査士:初任給】
月給 | 年収 |
20万円前後 | 300万円前後 |
土地家屋調査士の初任給は20万円前後で推移しており、年収にすると300万円前後が相場です。一般的な新卒入社の初任給と同水準です。
土地家屋調査士の資格を持っていても、入社初年度は仕事の経験が無く、未経験者扱いとなり優遇されないことが多いです。
【土地家屋調査士:役職別の平均年収】
役職 | 平均年収 |
主任 | 643.5万円 |
係長 | 801.0万円 |
課長 | 1058.4万円 |
部長 | 1170.0万円 |
業務を覚え現場経験を積むことで、段階的に年収が上がります。特に大企業は課長以上の管理職になると、年収1,000万円を超える場合も多いです。
土地家屋調査士補助者の給料は?
【土地家屋調査士補助者の給料】
月給 | 年収 |
15万円~25万円 | 180万円~300万円 |
土地家屋調査士補助者の月給は15万円~25万円です。補助者は無資格・未経験でも仕事に就けるため、給料は低めです。
【土地家屋調査士補助者とは?】
- 土地、建物の測量調査の補助
- 登記申請書類の作成、協力業者への必要書類の手配
- 官公庁への資料取り寄せなどの調査
主に上記の業務を担います。土地家屋調査士が行う測量や土地調査を手伝うことが補助役の仕事です。
土地家屋調査士補助者は資格が無くてもできる仕事です。測量士や測量士補の資格取得者が、経験を積むために務めているケースもあります。
給料を上げるには、土地家屋調査士の資格を取得し、補助者ではなく一人前になることです。
土地家屋調査士の仕事はきつい?年収に合わない?現実を調査
どのような仕事でも、きつかったり、割に合わないと感じる場面はあるでしょう。土地家屋調査士の場合、どんな場面でそれを感じるのでしょうか。
ここでは、口コミを元に土地家屋調査士が「きつい」と感じる内容をまとめました。
土地家屋調査士の仕事はきつい?ブログやSNS・2chスレ「超リアルな現状」を検証
「士業」と言えば、専門的で一見華やかなイメージですが、土地家屋調査士の場合はどうなのでしょうか?リアルな現状を確認しましょう。
- 東京調査士会の求人見たらひでぇな。 5年間ぐらい求人出してる事務所とか頭にウジ虫がわいてるんちゃう?? 。 クソ事務所すぎて人やめてるって気づけ
- 一級建築士もっててよかった 土地家屋調査士単独の人よりは周りからの扱いがマシになる 調査士だけだとマジで不動産屋とかハウスメーカーの奴隷だからな
- 司法書士のやつが、泥だらけで帰ってきた俺に向かって 掃除しといてくださいよって言ったときは殺意が湧いたわwいつも感謝してますよ、俺は無理ですもん、汗かくのも虫もだってさ
※2chより引用
土地家屋調査士の口コミによると「肉体的な辛さ」「精神的な辛さ」を嘆く内容が多くあり、仕事はきついようです。
きつくても、どれだけやり甲斐を持って働けるかがポイントとなりそうです。
土地家屋調査士が年収を上げる方法
土地家屋調査士が年収を上げるには、企業の中で昇給する、今より条件の良い事務所へ転職する、独立開業をするなど、いくつかの方法があります。
ここでは、転職と独立について、具体的な方法を紹介します。
大規模なプロジェクトを扱う企業に転職する
土地家屋調査士が年収を上げる方法はまず、大規模なプロジェクトを扱う企業に転職することです。
転職を希望する企業のホームページを見て、事業内容や過去の実績をチェックしましょう。
過去の実績を見ると、その企業の得意分野や代表的なプロジェクトが見えてきます。その中に、巨額案件が多く含まれていれば、年収アップが望めるでしょう。
【大規模プロジェクトの事例】
- 大型集合住宅(UR都市機構、財団法人)
- 山間部での住宅地開発
- 公共用道路、水路の工事
- 大型ショッピング施設(大手ゼネコン関連)
- タワーマンション(大手ゼネコン関連)
上記のような事例があれば、貴重な経験を積める上に年収を上げることが可能です。
独立して年収を上げるなら充分なコネが必要
企業で経験を積み、将来的には独立したいと考えている方もいるでしょう。確かに、独立後は年収1,000万円を超えることも可能です。
ただし、経験があるからといって独立後に仕事が順調に入ってくるとは限りません。案件が多くても単価が安ければ、忙しいだけで年収は上がりません。
年収を大きく上げるには、単価の高い大規模な仕事を取ってくる必要があります。
条件の良い仕事を取るには、大規模プロジェクトに加われるほどのコネクションが必要になってきます。そのためには、会社員時代に人脈をつくっておかなければなりません。
人脈を構築するには、個人事務所や中小企業よりも大手企業に務めた方がいいでしょう。
自力で転職するのは効率が悪い
土地家屋調査士として年収を上げるには、将来的に独立するにしても、大企業に転職して大きなプロジェクトにかかわる必要があります。
先ほど述べたように、独立後に条件の良い案件を取ってくるには、人脈が不可欠なためです。大企業に転職するなら、年収が上がり、人脈も築けるところを探さなければなりません。
とはいえ、そのようなところを自力で探すのは、相当な労力と時間が要ります。仕事をしながら転職先のリサーチをするのは困難で、不十分な調査を元に転職し、かえって年収を下げてしまう可能性すらあります。
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パソナキャリアの公式サイトパソナキャリアの評判と口コミについて詳しく知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。 パソナキャリアの評判は?629人の口コミ調査の結果おすすめの転職エージェント②リクルートエージェント
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- 求職者は安心して面接に臨めます。
リクルートエージェントは求人数が豊富なので、「多くの求人情報を比較したい」「地方に転職したい」などの希望がある方にがおすすめです。
リクルートエージェントの公式サイトリクルートエージェントの評判と口コミについて詳しく知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。 リクルートエージェントは評判が悪い?500人の口コミ調査の結果これから土地家屋調査士を目指すなら
土地家屋調査士が活躍する業界へ転職をしたい、将来は土地家屋調査士として独立したいと考えている方は、まずは土地家屋調査士の国家資格を取得する必要があります。
学習ペースにもよりますが、試験の難易度が高いため数年の勉強期間を要することもあります。
土地家屋調査士になる方法
土地家屋調査士になるには、法務省が実施する国家試験に合格する必要があります。下記に流れと試験概要をまとめました。
【土地家屋調査士になるまでの流れ】
- 土地家屋調査士試験に合格する
- 日本土地家屋調査士会連合会に登録する
【受験資格・願書配布】
受験資格 | 制限なし |
願書配布・受付 | 7月下旬~8月中旬 |
受験地 | 全国9会場 |
受験料 | 8,300円 |
【筆記試験日程】
試験日 | 10月 第3週の日曜日 |
試験内容 | 午前の部:平面測量、作図 午後の部:【択一】不動産登記法、民法 【書式】土地・建物 |
合格発表 | 1月上旬 |
【口述試験日程】筆記試験合格者のみ
試験日 | 1月中旬 |
試験内容 | 口述試験:1人15分程度の面接 |
合格発表 | 2月中旬 |
試験対策として、土地家屋調査士の受験を効率的に進める方法があります。
- 測量士、測量士補
- 一級、二級建築士
上記のいずれかの資格を持っていれば、午前の部の試験は免除されます。
多くの受験生は比較的取りやすい測量士補を取得した上で、土地家屋調査士を受験しています。
土地家屋調査士の難易度は?
【土地家屋調査士の合格率】
年度別 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
令和元年度 | 4,198名 | 406名 | 9.67% |
平成30年度 | 4,380名 | 418名 | 9.54% |
平成29年度 | 4,600名 | 400名 | 8.70% |
平成28年度 | 4,506名 | 402名 | 8.92% |
平成27年度 | 4,568名 | 403名 | 8.82% |
土地家屋調査士は、難易度の高い資格です。合格率は9.0%前後です。
【資格別】合格率比較表
資格名 | 合格率 |
土地家屋調査士 | 9.0%前後 |
宅地建物取引士 | 15.0%前後 |
不動産鑑定士 | 30.0%前後 |
宅建士や不動産鑑定士など、他の不動産関係の資格と比べても合格率は低く、ハードルが高い資格です。
土地家屋調査士の将来性は?
土地家屋調査士の仕事は今後も需要は堅調に推移すると見込まれます。
まず、土地境界の相談業務は増加傾向にあります。相続案件の増加とともに、土地境界を巡るトラブルが予想されるためです。
トラブルの直接的な解決は当事者同士や弁護士が介入して進みますが、相続した土地の境界線を測定したり、分筆したりする場合は土地家屋調査士が必要になります。
特に地方では、明治期に定められた土地境界が曖昧で近年になってトラブルになる事例が報告されており、行政も解決に向けて動きだしています。
土地や建物の測量業務は土地家屋調査士の独占業務なので、今後も相談が増えていくでしょう。
依頼人の法的なトラブルには、土地家屋調査士会が設置する「ADR境界問題相談センター」があり、弁護士と連携して解決に当たります。
その際、土地家屋調査士の方が司法書士の資格などを持っていると、より強みが発揮できます。
土地家屋調査士の年収まとめ
今回は、土地家屋調査士の年収について解説してきました。
土地家屋調査士は独立開業で大幅な年収アップを期待できますが、人脈がないと単価の高い案件を取れません。
加えて、リスクを取って独立するよりも、大企業で順調にキャリアを重ねれば年収1000万円を超えることは可能です。
つまり、土地家屋調査士の方が年収アップしようと考えるなら、まずは条件の良い会社に転職することが必須となります。
条件の良い会社の求人を自分で探すこともできますが、企業の求人情報を集めている転職エージェントを使う方が効率よく情報収集できます。
転職エージェントを使えば、好条件の転職先がすぐに見つかるだけでなく、履歴書や職務経歴書の書き方や面接のコツを助言してくれます。
今回ご紹介したパソナキャリアとリクルートエージェントは、どちらも実績のある転職エージェントです。ぜひ、活用して年収アップを実現させてください。